「中国の戦術はずる賢い」…バイデンの「中国製EVへの関税引き上げ」が「日本の自動車業界再編」を迫る「納得の理由」
日本の自動車業界の大胆な再編
とはいえ、欧米のような中国産EVの輸入関税の引き上げを見送れば、欧米市場から締め出される廉価な中国製EVが日本市場に集中豪雨的に輸出され、EV車の開発・供給で出遅れている日本車メーカーのEV事業の出鼻をくじくことになりかねない。 世界の自動車メーカーはかねて、EV化などのカーボンニュートラル対応だけでなく、全自動運転やシエアリングなど同時多発的な大きな経営環境の変化への対応を迫られていた。が、米テスラ社や中国のBYDのような巨大なキャッシュフローを持たない日本勢で、対抗し得る研究開発や設備投資の資金をねん出できるのはトヨタ自動車ぐらいだ。他社は、ホンダや日産自動車といえども単独で十分な対応をできる財務体質を確保できているとは考えにくい。 そうした状況に、今回、EVを巡る世界的な関税戦争が加わることによって、日本車メーカーは、トヨタとその他の2大グループへの集約のような大胆な再編をしないと、巨額化の一途を辿る投資・開発競争を生き残ることが難しくなてくるかもしれない。
町田 徹(経済ジャーナリスト)