“新生”箱根駅伝は5区短縮で山の神が消える?! どの大学が有利に?
たいていの大学は5区が短縮することを歓迎しており、なかでも有利になる大学がある。3連覇を目指す青学大、全日本大学駅伝2位の早大、強力ルーキーが多数いる東海大だ。 青学大は、5区が短縮することで神野大地の後を任される重圧が軽減される。反対に重要性がアップする4区には、1万m記録挑戦競技会でトップ(28分18秒31)を飾った田村和希、今年の東京マラソンで日本人2位(2時間11分)に入った下田裕太などコース適性のある強力選手の起用が可能。5人の候補がいるという5区は未知数だが、4区までに大量リードを奪うことができるだろう。 早大は前回5区を区間5位と好走した安井雄一が控えているのが大きい。好選手が揃っているだけに、他区間のメリットもある。東海大も選手層が厚いチーム。5区には2名のルーキー(舘澤亨次と松尾淳之介)が候補に挙がっているが、距離が短縮したことで1年生を起用しやすくなった面もある。 逆にちょっともったいなかったのが駒大だ。前回5区(区間4位)を担った大塚祥平は、全日本大学駅伝の最終8区(19.7km)を、青学大のエース一色恭志と15秒差の58分03秒(区間3位)で走破。走力的には「山の神」に最も近い位置にいただけに、5区の距離は長い方が良かったはずだ。 距離短縮で影響力が低下することになる5区だが、選手たちの「攻め方」が変わったこともあり、タイム差はまだまだつくと考えた方がいい。距離延長前の5区を1時間9分12秒の最速タイムで駆け上がり、距離延長後も「山の神」と呼ばれる大活躍をした今井正人(トヨタ自動車九州)はリニューアルする5区をこう見ている。 「僕は本格的な上りに入るまでじっくりとリズムを作っていったんですけど、柏原君と神野君は5kmの入りが僕より30秒以上も速いんです。距離が短くなることで、前回5区を経験している選手は気持ち的にも攻めやすくなると思います。序盤は僕らの時代より速いペースで入っていけるんじゃないでしょうか。1時間10分を切るような選手が結構でると予想しています。柏原君や神野君のような凄い選手が出るかはわからないですけど、距離が短くても5区は他の区間以上に大差がつくと思いますね」 5区短縮による余波はどんなかたちで現れるのか。距離変更後初めてのレースとなる第93回大会は、例年以上に見どころが満載だ。 (文責・酒井政人/スポーツライター)