日大学生が監督就任した日大櫻丘が初戦突破!敗れた石神井の固い守備力の源はノッカーを務めた女子マネ【24年夏・西東京大会】
第106回全国高校野球選手権西東京大会1回戦◇日大櫻丘3―2都立石神井◇2024年7月7日◇府中市民球場 【トーナメント表】夏の西東京大会 7日までの結果
日大櫻丘は事情があって監督が1か月半前に交代。もともと学生コーチであった日大文理学部3年生の出口太陽が監督を務めることになった。日大櫻丘と日大文理学部は隣接しており、OBの出口は、高校卒業後も母校で指導をしていた。「監督がいた方がいいですが、もともと練習メニューなどはキャプテンを中心に決めていたので」と出口監督。選手にとっては兄貴のような存在だ。 猛暑の中、始まった試合は1-1の接戦で5回終了後のクーリングタイムを迎える。クーリングタイム後は試合が動くことが多いが、6回表、日大櫻丘は5回まで好投していた背番号10の左腕・2年生の鈴木 義晴投手を一塁手にし、背番号1の主将・田中 汰樹投手をマウンドに送ったが、1安打2四球で無死満塁となった。ここで再度鈴木をマウンドに戻したが、内野ゴロの間の1点に加え、8番・古作 成のスクイズで石神井が1点を追加した。 都立石神井の古作 成は2点のリードを得たが、その裏内野安打2本と失策で無死満塁となり、打席には4番並木 翔真捕手(2年)を迎える。前の回の失点に捕手として「責任を感じていました」と言う並木は、レフトに二塁打を放ち、満塁の走者が生還。日大櫻丘が逆転した。「スライダーを思い切って振りました」と並木は言う。 その後は両チームとも得点を許さず、日大櫻丘が4-3の接戦を制した。 この試合で光ったのは、石神井の堅実な守りだ。この代は守りのチームを目指していた。守りのチームを作るうえで大きな役割を果たしたのが、マネージャーであり、助監督でもある木村 莉咲だ。小学校、中学校とクラブチームで野球をしていた木村は、ノッカーを務め、守備を鍛えた。最初は不安もあったが、木村のノックは上達し、木村が一生懸命打つノックを野手もしっかり捕球して守備が上達した。「木村と3年生の部員が同級生同士で話し合いながらチームを作っていきました」と中村勘太監督は言う。この夏、敗れはしたが、確実に力を付けた。「もっとボロ負けになるかと思いました。負けて悔しいですけど、やりきりました」と言って木村は涙を流した。けれどもその涙には、さわやかさがあった。 勝った日大櫻丘は、3回戦は都立東村山西と対戦する。大学生の出口監督は教師を目指しており、将来は教員として高校野球に関わるつもりだ。その前に巡ってきた監督としての夏。捕手の並木は、「学生コーチとしても親身にやってくれました。監督との距離は近いです」と語る。センバツ優勝から52年。兄貴のような監督と、日大櫻丘野球部の夏の戦いは続く。