「保育園側の連絡」過去全て見える 保護者要望でスマホアプリ改善 三重・松阪
三重県松阪市が市立保育園などで、紙の連絡帳代わりに導入しているスマートフォンアプリ「HOICT」(ホイクト)の機能が改善され、今春から、保育士側が書き込む「毎日の連絡」が過去全てをさかのぼって閲覧できるようになった。以前は過去10日分しか閲覧できず、保護者から改善を求める声が挙がっていた。 市では保育園運営のデジタル化の一環として2018(平成30)年、民間企業の公立保育園向け業務支援システム・ホイクトを導入。園児の登降園手続きなど運営に関わる業務などに活用している。長らく使われてきた紙の連絡帳も、23(令和5)年2月で廃止し、同年3月からホイクトに移行した。 保護者はホイクトのスマホアプリを用いて園側と情報を交換。「毎日の連絡」から送迎や体温、体調に関する情報を園に送信する。園側は、過ごしの様子を「デイリーチェック」内の「園からの連絡」欄に記入し、保護者側に伝えていた。 ただ機能上の制約から保護者がスマホアプリで閲覧できる「毎日の連絡」は過去10日分までだった。それ以前が見たい場合には園側に個別で照会する必要があった。同課には「もっとさかのぼって見られるようにならないか」という保護者の要望が園を通じて届いていた。 市こども未来課によると、民間企業側からシステム改善の報告があり、「園からの連絡」欄については今年2月29日から、入園後の全ての登園日の欄を閲覧できるようになった。同課からの連絡事項はホイクト内の「お知らせ」機能を通じ保護者らに伝えられるが、この切り替えは通達されておらず、いまだ知らない保護者が一定数いるとみられる。 一方、卒園と同時に保護者側スマホアプリ内のホイクトの蓄積情報は閲覧不可となる。同課では「園からの連絡」を〝育ちの記録〟として残したい保護者にはスクリーンショット機能などを使い保存することを勧めている。 市公立保育園・こども園園長会の小野陽子会長(こだま小規模保育事業所園長)は「園長会としても過去の記録をずっと残してもらいたいと要望してきた。消えてしまうのは困るという保護者の声も聞いていたので、入園時までさかのぼって見られるようになって良かった」と歓迎する。