カメムシ三重県内で大量発生 果物被害に懸念 死骸がネット際の地面埋め尽くす
松阪の嬉野算所町果樹園で確認
強烈な臭いで困らせ、果樹に被害をもたらすカメムシが全国で大量発生している。松阪市嬉野算所町の果樹園では、防虫フェンスのネット際を中心に大量のカメムシが死んでいる様子が見られる。県病害虫防除所(嬉野川北町)によると、県内の多い所では平年の20倍以上の数が確認されており、果樹への被害が懸念されている。
御浜町では平年の20倍以上
カメムシは、カメムシ目の昆虫の総称で、日本には90種以上が生息するとされる。ストロー状の口を持ち、それを葉や茎、実などに刺して汁を吸う害虫。敵に襲われたり仲間を集めたりするときに、後ろ脚の付け根付近にある器官から臭いをまき散らす。寿命は約1年半で、5月下旬から8月にかけて産卵する。 大量に死んでいるのを見つけた嬉野算所町の荘司確人さん(77)によると、19日午前8時ごろ、地域の清掃活動に参加するため、かんきつ系果樹園のそばを通ったところ、農地と道路の間に設けられた高さ約1.5メートル、長さ約15メートルのネットに、体長1センチほどのツヤアオカメムシとみられる虫がぎっしりとしがみついているのを見掛けた。同10時ごろに再びその前を通ると、防除薬剤の効果のためか、ほとんどのカメムシがネットから落ちて死に、地面を埋め尽くしていた。 同防除所によると、カメムシは杉やヒノキの球果を好んで食べ、山の中に潜んで越冬し、暖かくなると里へ降りてくる。昨年、杉などの実が豊作で、カメムシが増え産卵数も増加。さらに暖冬で死なずに越冬した個体が多く、数が増えたとみられる。 今年はウメ、ナシ、カキ、かんきつ類の果樹でカメムシの飛来が確認されており、松阪市内での直近1カ月の誘殺数は、チャバネアオカメムシが718匹(平年584匹)、ツヤアオカメムシが92匹(同40匹)。南牟婁郡御浜町では4万8078匹(同2310匹)と20.8倍となっている。農薬散布が効果的で、一般家庭ではカメムシが好む植物を家の近くに植えないことが重要だとしている。