米選挙キャンペーン最大の標的、それは中国-「やぶ蛇」な反応自制か
(ブルームバーグ): 中国は米国の選挙キャンペーンで、最大の標的に既になりつつある。しかし、習近平国家主席と中国政府は同国にとって「やぶ蛇」になりかねない反応を自制している。
ラストベルトの雇用不安を抱える激戦州での遊説で、バイデン米大統領は17日、中国を「排外主義的」と攻撃し、中国から輸出される鉄鋼とアルミニウムへの制裁関税を3倍に引き上げることを検討すると表明した。これに対し、中国側は自制を示した。
米通商代表部(USTR)は同じく17日、中国造船業の不公正慣行の調査を開始すると発表し、関連する中国企業株が下落した。米下院は20日、中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」禁止法修正案を可決し、運営主体である中国の字節跳動(バイトダンス)が米国事業を売却しない場合、TikTokは米国で禁止される。
中国の反応はいずれも比較的抑制的だ。米国にとって昨年700万ドル(約10億8300万円)相当の輸出市場となったプロピオン酸について、中国当局は報復関税を課したが、おおむね象徴的な対応だ。海運の調査は「国内政治」に関わる問題だと当局者は片付けた。
長期化する不動産危機と弱い内需に対応を迫られる中国の政策担当者は、緊張をエスカレートさせる動機に欠ける。約5%という年間成長率目標の達成を輸出に頼り、好調な米国の消費に依存せざるを得ない。
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原題:China Braces for Worst as It Becomes Punching Bag in US Election(抜粋)
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