ソフトバンク、楽天対抗のLINEMO新料金「ベストプラン・ベストプランV」発表。利点と選び方 (石野純也)
ソフトバンクのオンライン専用ブランドLINEMOが、新料金プランの「LINEMOベストプラン」「LINEMOベストプランV」を発表しました。 【この記事の他の写真を見る】 2つとも同ブランドとしては初めて段階制を採用しており、既存の「ミニプラン」「スマホプラン」を置き換える形で導入されます。新料金プランは7月下旬以降にスタートする予定です。 LINEMOベストプランはデータ容量3GBのミニプランを段階制に刷新したような内容。3GBまでの料金はこれまでと同じ990円ですが、それを超えると金額が1100円上がって2090円で10GBまで利用できます。 現状のLINEMOは、データ量の追加購入が1GBあたり550円。それを踏まえると、1GB相当の金額で10GBまで使えるようになったと捉えることができます。 (▲画像:LINEMOベストプランは2段階の料金プラン。3GBまでは990円で利用でき、それを超えると10GBまで2090円になる) もう1つのLINEMOベストプランVは、20GBのスマホプランを置き換える料金プラン。20GBまでの料金は2970円で、それを超えた場合、30GBまで3960円になります。 金額的には、990円の追加料金で10GBを追加できる格好。20GBでは少し足りないという人にとっては、悪くない料金プランと言えそうです。 ただし、同じ20GBで比べると、現状のスマホプランよりも料金は242円高くなっています。これはLINEMOベストプランVに、5分間の音声通話定額がバンドルされたため。 ahamoや、UQ mobileの「コミコミプラン」のように、音声通話定額をセットにする料金プランが増えていますが、LINEMOのLINEMOベストプランVもそこに追随したと言えそうです。 (▲画像:右がLINEMOベストプランV。1回5分の音声通話定額がついているため、現状のスマホプランよりやや料金が上がっている) 「ベスト」=「最高」=「最強」という言葉の置き換えからもわかるように、LINEMOベストプランは楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」を強く意識した容量、金額設定になっています。 ソフトバンクのコンシューマー事業を率いる専務執行役員の寺尾洋幸氏も、「意識していないかと言ったら、そんなことはない」と語っています。メインビジュアルでも、「10GB以下最安」をうたっており、対抗意識を強くうかがわせます。 (▲画像:メインビジュアルでも、10GB以下最安をうたっている) 実際、Rakuten最強プランは3GB以下の料金が割引なしで1078円とLINEMOより割高。3GBを超えると料金が2178円に上がり、こちらもLINEMOの2090円より高めの設定になっています。 楽天モバイルの場合、この金額で20GBまで利用できるため、データ容量的には勝っているものの、10GBという線引きをした際にはLINEMOベストプランの方が安くなるというわけです。 もっとも、楽天モバイルには「最強家族プログラム」などの割引施策があるほか、RCS対応の「Rakuten Link」を通じた音声通話は無料という特典もあるため、使い方によってはLINEMOベストプランがベストな料金になるとは限りません。また、楽天モバイルにはSPUで楽天市場のポイント還元率が高まるサービスもあります。 (▲画像:割引前のRakuten最強プラン。3GBまでと10GBまではそれぞれLINEMOの方が安くなる) これに対し、LINEMOはLINEの名を冠しているものの、連携は薄め。LINE上でデータ容量の残量を確認したりといったことはできますが、新料金プランにはLINE上で何らかの特典を受けられるような仕組みはありません。経済圏全体でのお得感は、依然として楽天モバイルの方が強めと言えるでしょう。 (▲画像:楽天モバイルには、楽天市場での買い物でポイントが4倍になる特典がつく。LINEMOはこういった連携が弱い) 一方で、LINEMOはソフトバンクのネットワークをそのまま使っており、エリアの広さや、混雑時の通信品質などには定評があります。 楽天モバイル側もエリアを拡大しているほか、KDDIローミングも料金の範囲内で無制限に利用できるものの、まだまだ穴があるのも事実。帯域幅が限られていることもあり、ソフトバンクほど速度が出ない場所もまだまだあります。 (▲画像:強靭なネットワークは、ソフトバンクの強みになっている) LINEMOベストプランは、こうした点を踏まえて作られた料金プランと言えるでしょう。これまでソフトバンクやワイモバイルの陰に隠れて、イマイチ特徴が薄かったLINEモバイルですが、2ブランドにないデータ容量や価格を設定することで、より差を明確にしてきた印象があります。 寺尾氏も「3つのブランドで全体をカバーできるということで設計している」と語ります。新規契約獲得という観点ではソフトバンクやワイモバイルという2大ブランドにやや遅れを取っていたLINEMOですが、新料金プランはそのテコ入れ策とも言えそうです。 (▲画像:LINEMOの料金プラン改定で、3ブランドの住み分けがより進んだ)
TechnoEdge 石野純也
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