次世代F1マシン、最高速は370km/h!? ラッセル、ストレート性能アップ受け安全面で指摘「先立って徹底した作業が必要」
FIAは6月6日(木)、電動エネルギーをより重視し、空気抵抗とダウンフォース性能を大幅に引き下げた全く新しい2026年型F1マシンの概要を発表した。 【ギャラリー】2026年の新規則F1マシンが明らかに! 現行規則との相違点を様々なアングルからチェック! 現行マシンよりもグリップ力が減る見込みの次世代マシンは、コーナリング速度が下がる一方で、ストレートスピードはより速くなると予想されている。そのためメルセデスのジョージ・ラッセルは、安全性に影響を及ぼす可能性が高いとの考えを語った。 「マシンのパフォーマンスという点では、かなり大きな変化を遂げることになるだろう」 F1の選手会であるグランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)の理事も務めるラッセルはそう語った。 「ストレートではかなり速くなるはずだ。ほとんどのサーキットで360km/hが出るはず……それはかなり印象的だ」 「360km/hとか370km/hからクラッシュすると、かなりクレイジーなモノになるはずだから、安全性を向上する必要があるのは明らかかもしれない」 特に懸念されるのは、サウジアラビア・ジェッダやアゼルバイジャン・バクーのような超高速の市街地サーキットで何が起こるかということだ。ラッセルはFIAに対して、2026年のレギュレーション変更によってトップスピードがさらに速くなることが本当に望ましい副産物なのか再考するよう求めている。 「安全性に関しては、変更される前に事故が発生しなくてはならないと、残念ながら歴史が物語っている」とラッセルは言う。 「マシンはとても速くなるのだから、誰もがこのレギュレーションに先立ち、本当に徹底した作業をする必要がある」 「ストレートではダウンフォースが少なくなるから、まるで空中を飛んでいるような感じになる」 「スリックタイヤを履いている時に雨が降り始め、250mph(約400km/h)で市街地サーキットを走る姿を想像できるはずだ。少し危ない状況になる。だから、これらの疑問に回答を用意する必要がある」 「公平を期すために言うと、FIAはこのことを十分に認識していて、何が起こる可能性があるのか全ての可能性を検討している」 「時間が経てば分かるはずだけど、マシンは既にめちゃくちゃ速い。どこで僕らは(トップスピード上昇を)止めるのか? 400km/hまで引き上げるのか? ファンは本当にそれを必要とし、見たいと思っているのだろうか?」 またラッセルは、現行マシンのハイダウンフォース性能を失うことは残念だとしながらも、バトルの質が向上するのであれば、妥協に値すると語った。 「ドライビングの観点からは、最速のマシンが欲しいし、戦闘機に乗っているような感覚を味わいたい。2020年と2021年はそんな感じだった。そして今もかなり速くなってきた」とラッセルは語った。 「マシンのパフォーマンスを失うのは残念なことだ。しかし逆に言えば、ダウンフォースが少なくなり、ダーティーエアが減れば、バトルはより良くなる」 「全てを手に入れることはできないし、戦いを選択しなければならない。何を達成したいのか?」 「僕としては、全てのチームと全てのドライバーの間で、良いレース、ハードなバトル、そして激しい競争が行なわれることが理想だ」
Filip Cleeren