人・食・地域を結び、小学生が考案した駅弁の思いを形にするフードコーディネーターに迫る
人・食・地域の魅力を結びたい思いを胸に「ここ結キッチン」を開業
現在、石倉さんは「関係人口コーディネーター」「フードコーディネーター」「食育コーディネーター」を一つにまとめた事業に取り組んでいます。地域の課題を把握し、親身になってアドバイスする仕事です。 2023年には地域の生産者と3つのお店を結びコラボさせた商品開発、キャンプ場の食事開発でのアドバイスや飲食事業立上げサポート、町の食育地産地消推進計画の策定などに携わりました。 給食カフェで使用していた店舗は、食の開発と演出によって美味しさと楽しさを伝えるキッチンスタジオ「ここ結キッチン」としてリニューアル。個々(人)と此処(地域)の魅力を結び発信する食の拠点となります。 冒頭の駅弁販売も「ここ結キッチン」の事業の一環でした。 「実際に駅弁として商品化するには、まだまだ改善しなければならない点はあります。でも、いつか本当の駅弁として多くの方々に手に取ってもらえるといいなと期待を込めたプロジェクトでした」 駅弁プロジェクトだけではなく、現在はさまざまな企業や団体からの相談を受けているといいます。
パズルのピースがピタッとはまり始めた
石倉さんが今後の展望について語るときの優しい笑顔が印象的でした。 「周りの人からは、『いったい、何の仕事をしてるの?』とよく聞かれます。わかりづらいですよね。すごく回り道をしていますが、私が本当にやりたかったことはただの飲食店ではなく、人と食、地域をつないで笑顔を届けることだと気がつきました」 給食カフェとしてオープンした店舗は、「ここ結キッチン」として再出発しました。店舗内では商品開発や販売、商品撮影もできます。石倉さんは大きな可能性に賭け、新たな一歩を踏み出したところです。 ジグソーパズルのピースは1、2枚集めただけでは完成イメージがわかりません。石倉さんのこれまでの活動はバラバラのピースだったため、それぞれのピースがどこにはまるのかもわからない状態でした。 フードコーディネーターの資格や栄養教諭の経験は、石倉さんにとって必要なパズルのピースです。無意識の内に手に入れていた複数のピースは、少しずつ大きな絵として完成に近づいていきました。 福井県と滋賀県の橋渡しの役割も担いたいと語る石倉さん。今後、さまざまな人や団体と力を合わせ、新たなプロジェクトに取り組まれることでしょう。
のがわ