米外交政策は一変、「米国第一」に歯止め利かず-トランプ氏返り咲き
(ブルームバーグ): 米大統領への返り咲きを果たしたトランプ前大統領は、敵対国だけでなく同盟国との外交関係も一変させると公言している。しかも1期目に「米国第一主義」政策推進を抑制する方向に働いた歯止めが、今回はほとんど期待できない。
トランプ氏は輸入関税引き上げや対中貿易縮小、同盟国への防衛費増額要求などの公約を掲げて選挙戦に臨んだ。欧州や中東で軍事衝突が続く中で、これらの公約を少しでも実行に移すだけで、新たな政治・経済的混乱を引き起こす恐れがある。
コロンビア大学のエリザベス・ソーンダース教授(政治学)は大統領選前の段階で、「トランプ氏の2度目の当選は警鐘ではなく、火事の警報そのものではなかろうか」と指摘していた。
トランプ氏は1期目の在任中に急進的構想の実現を目指したが、議会や政権メンバーの反対で阻まれた。しかし、それら閣僚・スタッフの多くはその後、トランプ氏を国家安全保障に対する脅威と非難しており、より協力的な人材が閣僚・スタッフのポストに充てられる見通しだ。
ソーンダース教授はトランプ氏について、「確固とした信念はほとんどないが、三つ挙げることができる。第一に同盟関係を好まず、特に大規模な多国間同盟が嫌いだ。2番目は、多国間貿易協定も嫌がり、2国間協定にしたいと考えている。最後に、独裁体制を称賛していることだ」と見解を示した。
原題:Trump’s Return Looks to Upend US Foreign Policy Once Again(抜粋)
--取材協力:Nick Wadhams.
(c)2024 Bloomberg L.P.
Daniel Flatley