【毎日書評】発達障害のナレーターが働きながら実践している「すぐに環境を整えるライフハック」
『発達障害・グレーゾーンかもしれない人の仕事術』(中村 郁 著、かんき出版)の著者は、ナレーター/声優として活動する人物。発達障害の当事者でもあり、前著『発達障害で「ぐちゃぐちゃな私」が最高に輝く方法』(秀和システム)をご紹介したこともあるので、覚えておられる方もいらっしゃるかもしれません。 発達障害と聞くと戸惑う方もいらっしゃるかもしれませんが、決して珍しいものではなく、発達障害の診断がおりる日本人は急増しているそう。文部科学省の調査では、日本人小学生の約10人に1人が発達障害であることがわかっており、大人になってから発達障害であることがわかるケースも増えているのだとか。 なお、発達障害としてはおもに3つが挙げられるといいます。 まずは、コミュニケーションや対人関係に困難を抱え、強いこだわりがあることを特徴とする「自閉症スペクトラム症」(ASD)。次に、注意力散漫だったり、多動・衝動性があったりする「注意欠如・多動症」(ADHD)。そして、知的障害を持たなくても、文字の読み書きや計算などの特定の能力に困難を抱える「学習障害/限局性学習症」(LD/SLD)。 いずれにしても発達障害を持つ人は能力に凹凸があり、できることとできないことの差が激しい傾向にあるようです。では、そんな人たちがビジネスの世界で生きていくためにはなにが必要なのでしょうか? 私たちに必要なのは、環境を調整することです。 発達障害の特性は、使い方を間違えると大暴走し、周りの人に迷惑をかけてしまうことがありますが、うまく使いこなすことができれば、他の人にはできないようなことを達成することもできます。 私たちの特性をうまく使いこなすために必要なこと。それは、まず自分を知り、理解し、認めることです。(「まえがき」より) つまり本書において著者は、発達障害を抱えながらもよりよく働くための考え方や姿勢、方策を紹介しているわけです。きょうはそのなかから第2章「環境を整えるライフハック」に注目してみたいと思います。