大阪市の橋下市長退任記者会見【全文1】
大阪市の橋下徹市長は18日、任期満了に伴い大阪市役所で退任会見を開いた。橋下市長は冒頭から「メディアへの注文したい」と話し、同市の文化予算に関する報道について言及し「検証能力がない」などと批判からスタート。また、これまでやってきたことに対しては「やるべきことはやった」「反発を食らうことはやり尽くした」などと述べた。
中労委報道ほか、メディアに対して言いたい
司会:大変お待たせいたしました。それでは、橋下市長の退任会見を開始させていただきます。市長、よろしくお願いします。 橋下:退任会見なんですが、ちょっと2、3、メディアに対しての文句を言いたいところもあるので、ちょっと言わさせてもらいます。まず、中労委命令の受け入れに関して、ちょっと報道内容について不満があります。 組合の事務所の退去に関する問題なんですけれども、あれは平成24度分については、僕の判断がちょっと拙速すぎたということで不当労働行為の認定を受け、司法でも違法認定 を受けましたが、25年度以降は条例に基づいてきちっと退去をお願いしたといいますか、処分をしなかった、使用許可をしなかったというところは司法判断でもこれは適法だと、25年は適法だということがまだ司法判断でも認められているところであり、もちろんこれは組合側が最高裁で争っていますが。中労委のほうも25年、26年は、不当労働行為と認定していませんので、これはきちっと不当労働行為として認定された年度をはっきり提示してもらいたいと思っています。これはきちっと皆さんに文書を送付しました。 そして、労使関係についてなんですが、アンケート調査における損害賠償請求訴訟については、これは上告をしないということを決定しました。これは損害賠償請求訴訟についてきちんと受け入れるということにしましたので、基本的には僕の任期中に認めるものは全て認めて。先日も議会で案件立ってますが、国歌の斉唱条例ですね。あれに関しての中労委の審査については和解を受け入れましたので、認めるものは全て認めたのかなと思っています。司法判断が継続しているのが、組合のほうがまだ上告ですか、している事務所の明け渡しの問題と、あとはこちらが勝ったやつですけども、相手方がまだ上訴している入れ墨調査。いくつかちょっと残っているのがありますけれども、基本的にはほぼ解決というしたかなと思っています。 それからなにわの芸術応援募金についても、文化についていろいろ振り返りでメディアが検証してもらっていることはありがたいことなんですが、1点、どうしても言いたいことは、文化を守るっていうのは当たり前のことで、これは百も承知です。僕の問題提起は、じゃあその守るべき文化っていうのは誰が決めるんだと。非常にプロセスが曖昧で、例えば誰が決めてるんだというところが不明確。そして、そういう状況でありながら、文化予算と称して年間億単位のお金が毎年、一定のところにだけ流れている。 これ、読売新聞の検証かな。どこの検証でもそうですけど、文化予算が減った、減ったっていうんですけど、なんで普段予算の話になったら中身が重要だっていうことをみんなメディアは言うのに、この文化予算になったら額ばっかりいうのかってさっぱり分からないですね。文化予算が減った、減ったっていって、文化が何か、文化を僕が軽視しているような、そういう検証の仕方になっていますけど。普段は国の予算についてだって、自治体の予算についてだって、額じゃなくて中身じゃないかっていうことを、みんな普段言っているのにね、なんで文化、文化予算になれば中身を検証しないのはさっぱり分かりません。 今までも文化行政の問題点は、文化を守れなんだけど、そんなの誰でも言えるんです。コメンテーターなんか、そんないい格好するコメンテーターなんかそんな当たり前のことなんですけどね、文化を守れって。じゃあ守るべき文化は何で、そこにいくらのお金を出すべきなのか。そしてそのプロセス、それはどうなのかっていうところを僕は一番問題意識を持っておりまして。そういう意味で、今回のアーツカウンシルっていうところでしっかり評価をしてもらう。チャンスはみんな平等に。そしてこの行政のある意味、行政職員。文化について別に専門家なんて、大阪府庁に、大阪市役所にもいないわけですよ。文化担当の職員だって前職見たら通常の行政職をやっているわけです。それが急に文化に来て、じゃあこれを守るべき文化で、これぐらいの予算を付けていきましょうなんて判断できるわけがないんですね。そういうわけで専門家のアーツカウンシルというのを設けて、やっぱりこれは税で、しかもこれ、税で守っていくことを推進するんじゃなくて、寄付で守っていくというのが本来の文化、守っていくやり方です。これ、世界の潮流ですから、寄付で守っていくというのは。 ただ、寄付といっても単にお金持ちからの寄付じゃなくて、余裕のある人からの寄付じゃなくて、僕が今回挑戦したのは、役所に税金を払うぐらいだったら文化のほうにお金を回したいっていう、そういう国民の皆さん、たくさんいらっしゃると思うので、余ったお金から、余裕のあるお金から寄付をしてくださいということではなくて、税金を払うか文化に寄付をするか、この選択ができるっていう新しい制度を作ったのが、大阪のなにわの芸術応援募金制度でありまして、この、きちっとどういう文化を守っていくのか、いくらのお金を付けていくのか、それを第三者的に、専門的に評価する機関を作って、そして行政が、しかも行政職員が守るべき文化やその額を決めるんじゃなくて、ある意味、文化を支えていく主体は国民自身なわけですから、そういう人たちにお金の面で支えてもらう。しかもそれは余裕のある国民の皆さんからだけじゃなくて、役所で税金を納めるぐらいだったら、こんな役所に無駄遣いされるぐらいだったら文化のほうにお金を回したいという人に寄付に応じてもらうっていう、そういう制度をつくったのがなにわの芸術応援募金制度でありまして、そういうことについてちょっと検証が足りないなと。文化行政については額ばっかりが問題になって、その予算の中身についてどこもしっかりと検証してきていない。ワッハ上方なんていうところに、4億円も5億円も毎年使っていたなんていうことを検証してる報道が一切なかったんですね。今はもうなくなりましたからね、ワッハ上方。あんだけ大騒ぎして、年間4億も5億も使っていたことに関して、それはいいのかどうなのかって。それだったらほかの文化のほうに回しゃあいいのにね、誰もそういうところをしっかり検証していないっていうことは、メディアの検証能力のなさだっていうのを僕は思っています。