医療の現状や課題で提言 高岡徳之島町長を表敬訪問 慶応大のゼミ生ら
鹿児島県・徳之島の活性化に関する調査研究のため同島を訪れていた慶応義塾大学の学生らが18日、徳之島町役場に高岡秀規町長を表敬訪問した。学生らは島内での調査に基づきまとめた徳之島の医療の現状や課題を示した上で、解決策などを提言。高岡町長や担当課長らと意見を交わし、少子高齢化や雇用創出など地方が抱える課題解決への糸口を探った。 来島したのは同大学経済学部の橋口勝利教授(49)と、橋口教授のゼミを履修している3~4年生9人。同ゼミは「地域活性化へ向けた歴史的研究」をテーマに2022年に初めて徳之島で調査を行い、来島は3回目。 学生らは「徳之島の地域振興の課題」と題してプレゼンテーション。島の医療体制に着目し、人口10万人当たりの医師数が全国平均の274・7人に対して徳之島は155・9人と少なく、病床稼働率も全国平均の88%を上回る94%と逼迫(ひっぱく)している現状を伝えた。 今後取り組みを強化するべき課題としては、生産年齢人口の減少や高齢化に伴う医療ニーズの増大を取り上げ、▽徳之島の病院で働くことを条件とする奨学金制度の創設▽遠隔医療による予防医療の推進▽結の精神を活用した地域全体での見守りケア―などの解決策を示した。 高岡町長は現在の町の取り組みなどを紹介した上で、「皆さんが伝えてくれた課題は今まさに町が取り組まなければならないこと。皆さんが調査で集めてくれた素晴らしいデータを活用して課題解決につなげたい」と感謝した。 ゼミリーダーの水谷雅さん(22)は「どこに行っても皆さんが気さくに対応してくれ、こんなに人柄が温かい島はない」と笑顔を見せ、「徳之島での経験を生かして多面的に物事を考えられる社会人を目指したい」と今後の目標を語った。 学生らは17日に空路で徳之島入り。19日まで滞在し、調査や自然体験などを行った。