旧ジャニーズ事務所騒動で“デビュー曲を封印”したHey! Say! JUMPが「ほぼ同じタイトルの新曲」をリリースする理由
結婚発表&露出低下でファンの心は離れていた
実はここ数ヶ月にわたり、不安な気持ちややるせない思いを抱えるHey! Say! JUMPファンも少なくなかった。今年に入ってから8月に至るまで新たなCDリリースやツアーは行われておらず、毎年夏に放送される民放各局の大型音楽特番にも、同事務所のグループが複数出演するなか、JUMPはいずれも出演しなかった。 メンバー全員が平成生まれという、当時としてはあまりにもフレッシュで鮮烈なデビューを飾ったJUMPも、結成から17年、すっかりベテラングループだ。 山田涼介主演ドラマと高木雄也出演ドラマが現在地上波で放送中だったり、個人活動が目立つなかで発表された、有岡大貴と八乙女光の立て続けの結婚発表も、プライベートの幸福を優先したのかと、素直に祝福できないファンも一部存在した。 後輩グループもどんどん活躍の場を広げていくなか、Hey! Say! JUMPというグループは本当に大丈夫なのか……そんな思いが募る中での、もう一度初めからといった意志が込められたような、不安をすべて蹴散らしてくれそうな、グループとしての意思を強く感じるエモさ爆発の〝デビュー曲再生〟というサプライズである。
ファンにとって「何よりも嬉しい宣言」とは
新曲『UMP』は、かつてのデビュー曲の再レコーディングなどではなく、sumika片岡健太の手による疾走感あふれる楽曲として生まれ変わった。 すでにミュージックビデオが先行公開されているが、封印デビュー曲のサビを彷彿させる旋律が挟み込まれた間奏には背筋がゾクっとした。さらに、一部の振り付けもデビュー曲と似たものがあったり、歌詞にも「東の空」といった、初代『UMP』の歌詞と重なるフレーズが盛り込まれたり、を感じる要素が複数あり、新しい形で生まれ変わったけれども、DNAの継承がうかがえるところもエモい演出だ。 初代「UMP」のAメロ歌い出しの歌詞は、「喜び悲しみ受け入れて生きる」というものだった。彼らの宝物に降りかかった、あまりにも大きすぎる選択。歌詞のごとくそれを「受け入れ」、そのDNAを受け継ぐかたちで新たに生を受けた、『UMP』。 CDのリリース文には、こう書かれていた。 <グループ結成、CDデビューから17年となる今年、その先に見える20周年へも向けて、グループとしての新たな代表曲となる作品を届けたいという想いのもと企画されました。> そう、彼らの目線はその先の〝20周年〟を見ている。それは不安を抱えていたファンにとって、何よりも嬉しい宣言ではないだろうか。17年目に生まれた新たな「宝物」とともに、JUMPの逆襲がはじまるのか。 <文/太田サトル> 【太田サトル】 ライター・編集・インタビュアー・アイドルウォッチャー(男女とも)。ウェブや雑誌などでエンタメ系記事やインタビューなどを主に執筆。
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