おじさんたちが来なくなって…「サウナブームのピークは終わった」火付け役が語る「切実な原因」と「次の一手」
「熱波師」の名付け親はこう考える
空前のサウナブームは、2019年放送のテレビ東京系ドラマ『サ道』のヒットにより膨れ上がった。人々は「ととのう」感覚を求めて各施設を 開拓し、新規参入企業による個室サウナの流行や温浴施設のリニューアルといったハード面での進化が進んだ。 【写真】AV界の伝説・吉沢明歩が振り返る「親バレ」の瞬間「お前はだまされている」 一方で、サウナ室に充満した蒸気をタオルで扇ぐ「熱波師」(アウフギーサー)がアイドル的な人気を博し、各店でイベントが開催されるなどソフト面での進化が見られた。 しかし盛り上がりのさなかで訪れたコロナ禍により、いったん冷え込んだサウナブーム。ポスト・コロナの2024年現在、その「熱気の残り」は滞留しているようにも見える。 収束を迎えつつあるサウナブームを前に、温浴施設サイドがどのような取り組みをしてユーザー確保に勤しむのか、またブームの再燃は起こりうるのか。 激動する温浴業界の未来展望を、「熱波師」の名付け親であり「月刊サウナ」代表も務める神奈川県横浜市「ファンタジーサウナ&スパおふろの国」支配人・林和俊氏に温泉ソムリエ&熱波師のライター森田幸江が聞いた。 ――林さんは2001年の入社すぐから温浴施設の支配人を務めて、サウナブーム以前と以降のシーンを見つめてこられました。このブームの到来というのはどのタイミングでしたか。 実は業界内ではじわじわと2017年ぐらいから「サウナブームが来るよ」というのは囁かれていたんですけれど、大きく変わったのは間違いなくドラマ『サ道』の初回放送ですね。 このドラマのラストには、主人公が立ち寄った温浴施設の支配人に、施設の成り立ちについて質問するシーンがあるんですが、これに触発されたのか、来訪する若いお客さんから「お店がどういう考えを持っているのか」という根本的なことを聞かれることが増えました。 もちろんそれまでも、お客さんのなかにもそうした好奇心はあったのかもしれませんが、一歩踏み出されるようになったのはドラマの効果が大きかった。それまでは、話しかけられるのってクレームをつけられる時ばかりでしたから、すごい変化です。