ファジアーノ岡山、待望のJ1昇格はこうして叶った――悲願達成の糧となった2年前の経験
岡山にとって歴史的一戦となったベガルタ仙台とのプレーオフ決勝でも、相手を圧倒し続けたわけではなかった。結果的に2-0の無失点勝利で歓喜の瞬間を彩ったが、岡山にピンチがなかったわけでもない。 しかし、守備時のハイプレスはもちろん、攻撃に出たときでも、ボールを失った瞬間には素早く守備に切り替え、奪い返しにかかる。1試合を通して見れば、そうしたプレー強度の高さで上回っていたのは、明らかに岡山のほうだった。 「2点目が入って(勝利を)確信した」 誇らしげにそう言いきった木山監督が、安堵の表情で語る。 「(プレーオフで)4回負けたから4回ダメだったわけではなく、いろんな思いを持ちながらやってきたこの10年、こういう経験が着実に自分自身を強くして、大きくしてくれて、それを何とか形に残したいと思って岡山にやってきた。それをやらせてくれたこの岡山という場所、ファジアーノ岡山に、僕は本当に心から感謝しているし、それを実現できて今はちょっとホッとしている」 2009年のJリーグ加盟以来、ずっとJ1に上がれずにいたクラブは、何度も目標達成の目前で涙を飲んできた指揮官に、2度目を託した。 互いの思いが結実した、待望のJ1昇格である。
浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki