「 “変えられない政治”を変える好機」 NGO8団体が選択的夫婦別姓制度・SRHRに関するレポートを国連に提出
条約は性的マイノリティにとっても重要
「ジョイセフ」の草野洋美氏はSRHRについて「性と生殖について、一人ひとりが適切な知識と自己決定権を持ち、自分の意思で必要なヘルスケアを受けることができ、自らの尊厳を守れること」と表現。 「日本政府は、国際的な場では『すべての人のSRHRにコミットする』と表明している」と指摘し、実効性のある政策を実現するよう要望した。 また、公益社団法人「マリッジ・フォー・オール・ジャパン」の松中権理事や、「LGBT法連合会」の西山朗氏は、女性差別撤廃条約の「女性」にはレズビアン女性やトランスジェンダー女性も含まれることを指摘し、性的マイノリティにとっての条約の重要性を語った。 今年8月に発足した「Tネット」の木本奏太氏も「女性差別撤廃条約とトランスジェンダーには深い関係がある」と語った。 「トランスジェンダーの人々のなかには、女性としてのアイデンティティを持つ人や女性として生きてきた人もいれば、周囲から女性と見なされる人もいる。 現在でも性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する際には、外科手術をして不妊化することなどの要件や、学校や医療へのアクセスへの制限など、さまざまな問題が存在している」(木本氏) 「SOSHIREN 女(わたし)のからだから」の大橋由香子氏は、今年7月に最高裁大法廷が旧優生保護法下における不妊手術の強制を「違憲」と判断したことを評価しつつも、現在の母体保護法では中絶の要件に「配偶者の同意」が含まれているなどの問題を指摘した。 「#なんでないの」プロジェクト代表の福田和子氏や、NPO法人「ピルコン」の染谷明日香理事長も、日本では中絶薬や緊急避妊薬のアクセスが制限されており、性教育も不十分であるなどの問題を指摘。SRHRを守るためには、医療や学校における取り組みが必要であると訴えた。
弁護士JP編集部