【解説・自民総裁選】投票まで1週間…決選投票の行方は?政治ジャーナリスト・青山 和弘氏が詳しく分析
(伊藤 薫平 キャスター) 9人が乱立した総裁選も投票まであと1週間。ここからは最新の情勢をこれまで12回の総裁選を取材されてきた、青山さんに分析していただきます。20日現在の得票の推計というのがこちらということですが…説明いただけますか。 (政治ジャーナリスト 青山 和弘氏) このTOP3人のうち…決選に残るのは2人なんですが、この3人はほぼ横一線と言っていいと思います。誰が決戦に残るか分からない三つ巴ですね。やはり小泉さんが伸び悩んでいます。ただ、議員票で一番なのは小泉さんなんです。やはり党員票が強い石破さん、高市さんが横並びになっているということなんです。小林さんは、議員票は小泉さんに並ぶのですが、党員票の人気がちょっと低いので4位、ちょっと離れて4位ですね。5位が上川さんと、こういった情勢になっています。 (津川祥吾 アンカー) あの、9月初めでしたか、総裁選が始まるちょっと前の調査ですと、石破さん、小泉さん、高市さんがリードしていて、この3人が中心となって展開していくかな…と言われていて、そこはあまりかわっていないかと思うのですが、その時に比べるとどうなのでしょうか、小泉さんは伸びていない、むしろ失速している、高市さんが非常に伸びている、そんな感じの見方でよろしいのでしょうか? (政治ジャーナリスト 青山 和弘氏) 小泉さんが伸び悩んでいるのは間違いないと思います。ただ、自民党員というのは、どうしても男性で高齢の方が多いので、小泉さんよりも石破さんや高市さんの方が、どうしても党員票が多くなってしまうというところはあると思います。だた、これまでは、それでも小泉さんがトップランナーとして見られていて、小泉さんにばかり集中砲火が浴びせられた、ということが、小泉さんがこここまで厳しい戦いになった一つの理由かと思います。 (伊藤 薫平 キャスター) では、注目の総裁選の仕組みを改めて見てみます。総裁選は国会議員票368票、党員・党友票368票を合わせて736票を巡って争われます。1回目の投票で過半数を得た候補がいなかった場合、上位2人の決選投票になります。今回は9人が立候補していて議員票が分散しますので上位2人による決選投票は必至という状況です。今の情勢からみると、石破氏対高市氏、もしくは石破氏対小泉氏、または、高市氏対小泉氏。いずれかの決選投票となる公算が高いのでは…という状況ですね。 (津川祥吾 アンカー) 青山さん、先ほどの流れでいくと、このまま石破さん、高市さんの決選投票になっていきそうだというふうにみられるのでしょうか? (政治ジャーナリスト 青山 和弘氏) それがですね、まだ分からないところがあるんです。これまでは確かに小泉さんの失速が目立っていました。たた、本当の三つ巴の戦いになってきた中で、では本当に、逆に、石破さんが首相でいいのか、高市さんでいいのかという別な観点がかなり浮かび上がってきているんです。例えば石破さんに関して言えば、経済的に反アベノミクス的なことをおっしゃっていますので、今、日本経済はデフレ脱却に差し掛かっているところで、本当に石破さん…このアベノミクスから転換していっていいのか、あともう一つ、石破さんはどうしても世論に迎合する発言をするんです。一番分かりやすいのは、小泉さんはすぐ解散総選挙をやるといっていますけれども、石破さんも最初そう言っていたのですが、国民に選択肢を示すべきだと批判されると、そうだ、予算委員会もやると言い出した。ただ、これは我々にとっては悪くないのですが、自民党議員にとっては、この流れを受けないで予算委員会をやって、また野党から裏金だの、統一教会だの…と責められる機会をつくって、本当に選挙になるのか、選挙ができなくなるのではないか、本当に「石破首相」でいいのかという声は永田町に出てきているんです。あと、例えば高市さんで言えば、高市さんは、20人の推薦人のうち14人が旧安倍派なんです。裏金に絡んでいた議員も多い。そんな中で高市さんを担いで、本当に裏金問題が争点となる総選挙を戦えるのかどうか…。さらに、高市さんというのはかなり右寄りな、保守的な政策を掲げていて、本当に挙党体制、自民党の中には媚中派などと批判される議員もいますけれど、そういう人たちも適材適所でちゃんと組閣ができるのか、これも不安視されている。あともう一つ、公明党、連立与党の公明党とうまく関係が築けるのかと不安視する声も出ている。高市さんで本当に首相にしていいのか、こうしたことが目の前にぶら下がってくると、小泉さんでいいのかというのはこれまで結構出てきていたのですが、では誰がましなのかといういところが、この1週間の勝負を決めてくると思います。 (津川祥吾 アンカー) これまでの1週間2週間で、小泉さんが集中砲火を浴びてきて、それにうまく応えられてこなかった結果という現状だとすると、今後、石破さんなり高市さんが、本当に石破でいいのか、本当に高市でいいのか、という問いにどう応えていくのか注目ということですね。 (政治ジャーナリスト 青山 和弘氏) おっしゃる通り、石破さんは、その安定感みたいなものを自民党議員に訴えられるのか、高市さんは、ちょっと偏っているのではないかとみられるため、包容力をあらためて示せるか。これができないと、決選投票で迷う議員が続出して、行方が見えない決選投票になっていくかもしれない。 (津川祥吾 アンカー) 残り1週間、私たちも注目したいですね。