関東で真夏のような暑さが続く一方、海外にも異常な暑さとなっている場所がある。 サウジアラビアにあるイスラム教の聖地メッカでは、17日に51.8度を観測。 この暑さで、巡礼に訪れていたイスラム教徒約1300人が、熱中症などにより死亡したことが分かった。 6月に行われた年に一度の大巡礼「ハッジ」には、サウジアラビア国内外から約180万人が参加した。 猛烈な暑さの中、日傘をさしたり、水を受け取ったりしながら大巡礼に向かう人々。 しかし中には、あまりの暑さに座り込み、顔に水をかけてもらう女性や、担架で運ばれる男性の姿があった。 巡礼者からは「とても暑かったですが、神様のおかげで無事に終えることができました」「とても暑いですが、水で冷やして乗り越えます」などの声が聞かれた。 暑さにより約1300人が死亡したイスラム教の大巡礼とは、一体どういったものなのだろうか。 イスラム地域に詳しい中東調査会・高尾賢一郎研究主幹は「大巡礼とは、イスラム教徒の義務の一つとしていまして、メッカの中の決まった行程を巡るというものになります。イスラム教徒の人は、可能であれば一生に一度は（行く）というふうに言われている」と説明する。 大巡礼に参加するためには、本来サウジアラビア政府が発行する許可証やビザを取得する必要があるという。 しかし、2024年の大巡礼で死亡した約1300人のうち8割は、大巡礼を許可されていない人々だったことが分かった。 なぜ多くの人が許可のないまま大巡礼に行くのか。 その答えの1つは、国ごとに許可証の数が定められているため、発行を受けられない人が多くいるためだという。 中東調査会・高尾賢一郎研究主幹は「イスラム教徒の多い国の場合、10年待ち、20年待ち、あるいは理論上100年待ちというようなことになってしまう。どうしても巡礼に行きたい、大巡礼をしたいという人であれば、違法な、許可証なしに行ってしまうというケースも非常に多い」と話している。