エアコンなし? でも史上最高にエコな五輪、パリ選手村を見学
涼を保つ
最も関心が向けられるイノベーションは地熱冷却システムだろう。パリ大会の選手たちは、3年前の東京オリンピックと同じレベルの炎暑と湿度に見舞われる可能性があるからだ。 世界陸連のコー会長は、18日に発表された報告書の中で「気候変動はより一層、スポーツの存続に関わる脅威とみなされるべきだ」と述べた。同報告書は今夏の大会に関連する高温によるリスクを検証している。 選手村の一部の建物の1階には従来のエアコンが設置されているが、これは大会後に店舗に改装されるためだ。選手用の住居ではエアコンではなく地熱冷却システムが使用される。 このシステムは、近くの地熱発電所の地下70メートルの井戸から4度の冷水を各住戸の床下を通るパイプに送る。パリ2024オリンピック・パラリンピック選手村ディレクターのローラン・ミショー氏によると、冷水は外気温に比べて建物を6~10度冷やすことができる。このシステムは建物レベルで制御されるが、各住戸には自動温度調節器があり、室温を上下2度の範囲で調節できる。このシステムは冬に住居を暖めることもできる。 人為的な気候危機により熱波の頻度と激しさは増しており、世界の多くの地域でその到来が早まっている。パリは特に影響を受けやすい。850以上の都市を調査した研究によると、パリ市民は欧州のどの都市よりも極暑で死亡する可能性が高い。 国際エネルギー機関(IEA)の最新のデータによると、22年時点で欧州の全世帯のうちエアコンを保有している世帯はわずか19%にすぎない。世界中で発生する酷暑はエアコンの世界的な需要を高め、気候のジレンマを生み出している。エアコンは大量のエネルギーを使用するが、その大部分は依然として二酸化炭素を排出し地球の温暖化を引き起こす化石燃料から作られている。 熱波に見舞われているときの地熱冷却システムの有効性を懸念する代表団には、選手村が個別にエアコンを貸与する。 パリのイダルゴ市長は3月、ロイター通信から選手村にエアコンがないことについて質問された際、「非常に高い気温でもエアコンが必要にならないように設計されている」と述べた。 同市長は「私たちは崖っぷちにいる。アスリートを含め、誰もがこのことを認識しなければならない」「エアコンなしでも過ごせる理にかなった方法による建物の建設を支援してくれる科学者を私たちは信頼する必要がある」と訴えた。