2019年の甲子園で思い出に残った逸材たち!超高校級の技術を披露した井上広大(履正社)と周りのサポートで大化けした195センチ右腕・赤塚健利(中京学院中京)【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.31』】
皆さん、こんにちは!! 『高校野球ドットコム』の河嶋です! いよいよ夏の甲子園が始まります。 【一覧】第106回全国高校野球選手権大会 抽選結果 今年も私は暑い甲子園で夏を過ごします。これで春夏合わせて7度目の取材となりますが、初めて夏の甲子園を取材したのは2019年の第101回大会。ドラフト候補の成長が見られる有意義な大会でした。大阪の履正社が初優勝した大会から思い出深い2人のプロ入り選手を紹介していきたいと思います。
日々、打撃フォームの意識付けを変えた履正社の大砲・井上広大
まず紹介するのは履正社の主砲として活躍した井上 広大外野手(阪神)です。この甲子園では3本塁打、14打点の活躍で、優勝に貢献しました。井上選手の打撃で驚かされたのはどういう打撃フォームで打ったのかを語れる選手でした。配球で読むというより、良い打撃フォームで打つためにどういう準備をするのかを言語化してくれました。 それは夏の大阪大会から感じられました。準決勝の近大附戦では、2ストライク2ボールから甘めに入った外角高めのストレートを逃さず、広い大阪シティ信金スタジアムのレフトスタンドへ運ぶ本塁打を放ちました。この場面について井上選手は「前半、タイミングが合わなかったので、少しずつポイントを近くすることで合わせていきました。そのためにバットを引くテークバックの動作を少し小さくしたことで、内から出るようになり、ホームランにできたと思います」と詳細に語ります。そして決勝の金光学園戦では左投手のカーブを本塁打にしました。 「1打席目はタイミングが早く、開きが早いフォームとなっていました。そのためタイミングを遅くして、体の中でとらえることを意識しました」(井上) どのようにして修正したのかを高校生ながら言語化できる選手でした。甲子園で放った3本塁打の中で技ありだったのが3回戦の高岡商戦での本塁打。右アンダースローの荒井 大地投手から左中間へ本塁打を打ちました。 「ポイントが前になりすぎていたので、自分の体の中で振れるように、修正しました。第3打席まで左中間へ意識していましたが、この打席は右中間を意識して打ったので、投手によってどの方向を意識を置くか、考えていきました」(井上) 結果として打球は左中間へ飛びましたが、打席の中でどうやって修正したのか、どういう狙いで打ったのかを語ってくれるので、本塁打を打ったあと、どんな回答をしてくれるのか楽しみでした。こうした活躍が認められ阪神2位指名。ここまで一軍通算30試合出場し通算18安打。今年は二軍63試合で、打率.290、5本塁打、30打点と結果を残しています。貴重な右の長距離砲として一軍での活躍が待たれます。 井上選手の取材を通して、強打者の技術、考えを引き出す楽しみが生まれました。