《美容医療「失敗した」体験者たちの告白》「ヒアルロン酸注射で左右非対称なほうれい線」「二重手術でドライアイ」…技術や意識の低い医師が参入する現実
ヒアルロン酸注射でほうれい線が左右非対称に
ハイフ同様、近年人気が高まっているのが「注射系」の美容医療。ボツリヌス菌毒素を分解・精製した「ボトックス」は、注射した場所の筋肉の神経機能を一時的にまひさせることで表情じわをなくしたり、肩や首、脚をほっそりさせる効果がある。また「ヒアルロン酸」を注入すると、目の下のくまやこけた頬、薄い唇、鼻筋、バストなどをふっくらさせて、理想に合わせた形をつくる。 メスを入れないため施術への抵抗感が低いとされるが、危険はつきまとう。ネットで見つけたクリニックで目のくまとほうれい線にヒアルロン酸注射を受けたという、都内のAさん(46才)が唇を噛む。 「くま自体は薄くなったものの、医師の腕が悪かったのか、目の下に不自然な線ができてしまった。ほうれい線は左右非対称にゆがんでしまい、もとの顔の方が自然だったほど。 クリニックはやり直しを提案してくれましたが信頼できず、全額返金してもらい、別のクリニックでヒアルロン酸溶解注射を受けて元に戻しました」 返金、修正がうまくいけばいいが、取り返しのつかない事態になることもある。 「ヒアルロン酸が誤って血管内に入って網膜中心動脈などを塞ぐと、目の周りの血流が止まって失明する可能性があるほか、鼻など血管の下流にある組織が壊死してしまうリスクもあります」(星さん) 10月に首のボトックス注射を受けた女性は「赤ちゃんのように首がすわらなくなり、グラグラするようになってしまい恐怖を覚えた」とSNSに投稿した。症状は数日で治まったというが、首が前後左右にかくかくと揺れ、かなり不安定な様子だ。主に美容医療での後遺症治療を行う術後後遺症相談外来を設けているティーズクリニック院長の田牧聡志さんが説明する。 「そもそも、ボトックスで脚やあごがほっそりするのは、筋肉の働きを止めるから。表情筋に注射するのは問題なくても、誤って首に打てば頭を支えられなくなって首がすわらなくなりますし、ふくらはぎに打てばつま先立ちができなくなるのは当然のことです」 市場の急拡大に伴い、技術や意識の低い医師も参入してきているのが、美容医療の現実だ。 「中には、もともと粉末状のボトックスを院内で希釈する際、生理食塩水ではなく水道水を使ったり、ほとんど効果が得られないほど薄めて使用しているクリニックもあると聞いたことがあります」(mimiさん)