JTが「紙巻きたばこ会社」を買収した納得の理由、アメリカへ本格進出、なぜ縮小する紙巻きに注力?
ただし、稼げる商材とはいえ、紙巻きたばこには健康面などで世界的に厳しい視線が向けられている。規制を強化する国も多い。ベクターの買収は時代に逆行した流れともいえる。 これに対し古川CFOは「さまざまな意見があり、逆風の中にいるのは事実」としつつも、「投資家などとコミュニケーションしていて、直接的な批判はない。中長期的に利益成長をし続け、配当や投資などに充てて企業価値を上げていく」と説明する。 JTは今後もM&Aを継続する方針だ。これまでは紙巻きの会社を中心に買収してきたが、加熱式にはデジタルや電子機器関連の技術も必要だ。部品の領域で高い技術力を持つベンチャーも含め、新たな分野での買収を視野に入れる。
紙巻きの売り上げが2035年まで成長するとしても、あと10年。JTに加熱式への投資を躊躇している時間はない。今回の買収をテコに、加熱式のシェア拡大と収益改善を進められるかが焦点となる。
田口 遥 :東洋経済 記者