夫の父が亡くなり、遺産「3000万円」が手に入りました。夫が私と息子の口座に振り込もうとしていますが、これって「税金」がかかりますよね? 年間110万円までなら大丈夫でしょうか?
遺産などで思わぬ大金が手に入ると、そのお金を親族間で早めに分けておきたいと思う人もいるでしょう。しかし、たとえ親族間のやり取りであっても、一定の金額を超えた財産を渡してしまうと贈与税がかかります。 本記事では、まず贈与税の概要を説明し、遺産で得た3000万円を夫婦と未成年の息子の3人で分けようとした場合の贈与税額を計算します。さらには贈与税の基礎控除の活用やその他の注意点も解説しますので、参考にしてください。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
贈与税とは
贈与税とは、個人が別の個人から財産を取得した際に課税される税金のことです。財産は現金や預金だけでなく、不動産や貴金属など資産価値があるものが課税対象で、家族や親族間でも、日常の生活費や教育費などの範囲を超えると贈与税の課税対象になります。 贈与税には、60歳以上の親などが、18歳以上の子や孫などに対し贈与するときに選択できる「相続時精算課税」もありますが、通常は年間の贈与財産に課税される「暦年課税」で税額が計算されます。 「暦年課税」は1月1日から12月31日までの1年で贈与された財産に課税され、贈与税を支払うのは財産を受け取った人です。そのため、夫が配偶者や子どもにお金を渡した場合、課税されるのは配偶者と子どもになります。 また、贈与税には年間110万円の基礎控除があり、税額の計算式は「(1年間にもらった財産価額-基礎控除110万円)×税率-控除額」です。税率や控除額は、図表1のように基礎控除を超える財産価額によって決まります。 図表1
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
家族に1000万円贈与すると、贈与税額はどうなる?
もし、夫が遺産で得た3000万円を家族で均等に分けようと、1000万円ずつ一気に贈与してしまったら、控除額は贈与を受けた人が配偶者や18歳未満の子どもであれば図表1の一般贈与財産用の税率40%なので125万円です。 そのため税額は「(1000万円-基礎控除110万円)×税率40%-控除額125万円=231万円」となり、配偶者と子どもであわせて500万円近い贈与税を支払うことになります。 ちなみに夫が手に入れた3000万円も、財産をもらった点では贈与と同じですが、遺産であるため支払う税金は相続税です。 相続税は相続人である夫に課税されますが、基礎控除が「3000万円+相続人の数×600万円」あるため、相続遺産総額が3000万円であれば相続税はかかりません。つまり、財産を譲る点は同じでも、毎年個人間の財産移動に課税される贈与税と、人が亡くなった際の財産移動に課税される相続税では、課税の仕方が違うため注意が必要です。