Living in Sapporo《ドイツ人》ヤミツキさん前編 きっかけは“ゴジラ”
【北海道・札幌】200万人近い人口を抱える北海道の道庁所在地・札幌。「さっぽろ雪まつり」を代表とする世界規模のイベントも開催され、多くの観光客が訪れる街だ。その札幌には多くの外国人(2011年の札幌市の調査によると「札幌の外国人登録者数」は9500人強)が住んでいる。そこで、札幌で暮らす外国人に「札幌の魅力」を聴く「Living in Sapporo」の不定期連載をスタート。第1回目は、札幌国際プラザ(札幌市中央区)で国際交流員として働いているドイツ人、ウリ・ヤミツキさんになぜ日本に興味を持ったのかを聞いた。(インタビュー・構成/橋場了吾)
「ゴジラ」や「アタックNo.1」が大好き
私は1983年にドイツに生まれ、学生時代を中核都市オスナブリュックで過ごしました。オスナブリュックは、北海道でいうと小樽(人口12万人強)くらいの規模でしょうか。ドイツには多く存在する規模の街です。札幌に比べると雪は少ないですが、気温は似ていますね。 そのオスナブリュックの名物は、春のアスパラガスと冬のケール。アスパラガスはホワイトアスパラガスで、春先には毎日食べる人がたくさんいます。ケールは11月の初霜の時期が旬で、長い時間かけて炒めてポテトとソーセージに添えて食べます。季節の旬を大切にしているのは、日本料理に通じているかもしれません。 私は、学生時代は勉強には熱心ではありませんでしたが(笑)、バスケットボールには真面目に取り組み、セミプロレベルのチームで活動していました。しかし大きなケガをしてしまい、勉強を一生懸命やることにし、ミュンスター大学に進学し政治学・歴史学・社会学について学ぶことにしました。 大学2年生の時ですか、日本の政治・経済の授業があって一気に日本への興味が湧きました。ヨーロッパにはちょっと飽きていたので(笑)、とにかく遠い国について勉強したかったんですね。しかも小さいころから日本の映画やアニメ……「ゴジラ」や「アタックNo.1」(ドイツで初めてテレビで放送されたアニメらしい)が大好きだったので、意識の中で「日本に行きたい」と思っていたのかもしれません。そこで、交換留学生として1年間国際基督教大学(ICU)にやって来たのが2006年でした。 実は今も勉強中なのですが、当時から専攻は「日本の通商政策」です。2006年は日本が参加するかどうか話題になっていたTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が発効された年なので、テーマとして最適だったんです。