ブランド鑑定がフリマアプリの標準に 巧妙化するスーパーコピー品を排除 近ごろ都に流行るもの
フリマアプリから「偽ブランド品」を一掃する取り組みが強化されてきた。インターネットを通じて個人間で不用品などを売買できる便利な仕組みだが、「並行輸入品」をかたって品薄のエルメスやシャネルのバッグが格安で出品されるなど〝怪しい〟売り手は後を絶たない。「楽天ラクマ」では17日から、中古ブランド品流通大手の「コメ兵(ひょう)」と協業した鑑定を通常取引の標準仕様に組み入れた。ロレックスの腕時計から衣料、スニーカーまで400ブランド以上を網羅。多大な鑑定コストをかけても安心・安全性と信頼度を高め、競合アプリとの差別化を図るねらいがある。 【写真】本物と年々、精巧さが増している スーパーコピー品のルイ・ヴィトンのバッグ ■偽造品の後ろに犯罪組織も 売りたい側が示した商品写真しか判断材料のないフリマアプリは悪意ある出品者に利用される余地があったが、新対策の「ラクマ最強鑑定」は出品者から購入者へ品物が届く前に鑑定が入る仕組みだ。これまでは、真贋を知りたければ購入者負担で到着後の品を鑑定に送るしかなく、利便性は格段に上がった。 鑑定士による視覚、触覚、嗅覚などの経験値に、マイクロスコープや人工知能(AI)を駆使した厳格な鑑定が行われ、「基準外」と判定されれば取引は中止となる。 「それって本物なんですか? という、購入する側の不安を解消していくための最大の手段が偽造品の排除。高額品も安心して買える状況を作ることが、2次流通のフリマを発展させるために絶対に必要です」 楽天ラクマ事業部の樋口量祐シニアマネジャーが言葉に力を込めた。 偽造品販売は、商標法違反や詐欺罪などに問われる可能性があるが、ラクマで判明した場合の出品者へのペナルティーはアカウント制限程度にとどまる。「本人が偽造と知らずに入手した品を売りに出してしまうケースもあり、すべてが悪意とはいえない」と樋口さん。全ブランド品に鑑定が行き届くことで、正規品の積極出品を促す効果も期待する。「保証書を紛失した場合でも、自信を持って取り引きしていただけます」 フリマアプリとの協業は初というコメ兵カンテイ事業部、松波之浩部長は「店頭買い取りの場でも、従来の基準では見過ごしてしまうくらい精巧なスーパーコピー品が増えている」と苦労を吐露した。コメ兵では、自社基準に照らして偽造品疑いのある買い取り不可件数が、昨年の前半から後半で1・3倍に増えたという。