【ライブレポート】原因は自分にある。『ARENA LIVE 2024 白昼夢への招待』での確信「僕らと観測者のみんななら絶対に夢を叶えられる」
観測者への愛を惜しみなく表現
まだ序盤であることが信じられない濃密さ。にわかに静まった空気に響いたのは電話のコール音で、暗転したステージの上、移動するメンバーがほのかに浮かび上がる。鼓膜を揺らしたのは、メンバーそれぞれの刺激的なモノローグ。セリフありのインタールード映像だ。 武藤の「ずっと君のことを考えていたかった」、小泉の「話逸らさないでよ、俺のこと、好きなんでしょ」、吉澤の「俺のそばにいろよ」、大倉の「ねえなんで?俺は大好きだよ」、長野凌大の「ねえ、次いつ会えるの?早く会いたいな」、桜木雅哉の「ずっと、一緒にいたいな」、杢代和人「愛してるよ、離さない」と続く。モノローグごとに歓声が重ねられたのは言わずもがなで、流れるように楽曲『半分相逢傘』『In the Nude』『美しい人』そして『Mania』へと終着する。 バックモニターで乱れ散る花弁。再び鮮やかな光に照らし出されたメンバーたちは、赤い傘を手にしている。思い返せば、古都の宮中を彷彿とさせるような映像に合わせ、彼らの衣装はどこか異国情緒に溢れている。そんな演出に赤い傘、彼らのコンセプトを増幅させるのにこれ以上ないアイテムだ。みるみるうちに魅惑の世界に引き込まれ、今夜だけは夢を見続けることを許された世界にいる。これは、囚われたまま覚めてほしくない夢。 吉澤のしっとりと水分量の多い歌声に聞き惚れていると、7本の赤い垂れ幕が天空より舞い降りた。武藤の肩に手を寄せながら歌う杢代。『In the Nude』では、その赤い垂れ幕の裏で次々と衣装を変えるメンバーたちに、また種類の違った嬌声がわく。妥協しない、曲ごとに突き詰めた演出。彼らのパフォーマンスに休憩の文字はない。指を鳴らす音、手を打ち合わせる音に合わせ、グングンと高まっていく会場の温度。モニターに大写しになった桜木の挑発的な表情が、脳裏に焼きつく。 7本の赤い垂れ幕は、楽曲が『美しい人』に移り変わった瞬間に、7脚の椅子に変貌した。アップテンポなダンスナンバー。激流に飲み込まれるように、彼らの姿に引き込まれたまま抜け出せない。喉をそらせながら歌う、長野の力強い歌声。見せる力が格段に高まっているのを感じさせる。今年の3月に行われたホールツアー『架空のアウトライン』でも、一人ひとりに銀色に輝く椅子が用意されていたことが、自ずと思い出される。 『Mania』では、バックモニターに青い蝶が舞った。吉澤の持ち味、そして武器でもある低音と、杢代のウィスパーボイスが絶妙なバランスで絡み合う。小指を噛んでみせる演出に観測者の声は黄色く染まり、ステージ上では激しさと艶かしさが拮抗した。