資産運用をしなくては……でも、「SNS広告の儲け話」は信じていいの?
「資産所得倍増元年 - 貯蓄から投資へ」と、2024年1月よりNISA制度が拡充されました。この、新しいNISA制度開始により、「投資」による資産形成に目を向けられる方が増えたのではないでしょうか。 ただ、それに便乗するかのように、投資セミナーの広告をよく見かけるようになりました。SNS上の投資グループによる勧誘、信じて大丈夫なのでしょうか。 全国の消費生活センターに、詐欺的なFX取引(外国為替証拠金取引)に関する相談が、特に老後資金の不安を持つシニア層を中心に増加していると、独立行政法人国民生活センターが注意喚起をしています(独立行政法人国民生活センター 令和6年1月24日報道発表資料より)。詳しく見てみましょう。
お金を引き出せない
どのような流れで被害に遭ったのか、まず、手口を知っておきましょう。 【まずは登録】 興味を持った人に、情報を受け取るために会員登録をさせます。その後、情報を共有するためのグループチャットに案内をします。 【チャット内で洗脳】 チャットで、次々にどれだけ稼いだという成功体験を聞くと、自分も稼ぎたいと思うのが世の常。被害者を、稼ぐ方法を知りたい気持ちにさせておいて、FX取引に誘います。 【お金を振り込む人と分かれば・・次々と要求】 FX口座を開設したら、『個人名義の口座』に証拠金を入金するよう要求してきます。振り込むと、運用により利益が出ているように見えてきます。利益分は、実際に出金ができます。よって、儲けるために、さらに高額な入金をしてしまうのです。 【出金できない。FX業者もグループの誰とも連絡が取れない】 そして、「いざ出金」となったら、税金や証拠金を支払うよう請求されます。請求に従って支払っても出金できず、FX業者ともチャットメンバーとも連絡を取れなくなります。お金を取られておしまいです。
だましの手口は変わらない
登録した人をグループチャットで洗脳。その前は、登録した人をステップメールで洗脳と、方法は違っていますが、洗脳をすることには違いありません。ただ、チャットであればリアルタイムでの成功談を聞くことになるので、よりリアル感が増します。 これにより、「知りたい」「自分も儲けたい」という気持ちを高まらせ、口座開設、そして支払わせます。 当初は「利益が出ているし、実際に出金もできる」のは、ポンジスキームの常とう手段です。これによりすっかり信じて、さらに高額な入金をしてしまうのです。 しかし、高額な入金をしてしまうと、今度はいろいろ難癖を付けて、なかなか出金させてくれなくなります。さらに支払いを請求する場合もあります。しかし、お金は出せません。 そして、お金を集めるだけ集めた事業者は逃げていきます。運用方法がFX取引であったり、暗号資産のマイニングやアービトラージであったりするなど、さまざまな方法がありましたが、本当に儲かる方法なら、事業者が逃げる必要はありません。