経産省が「4兆円」もの税金を「とある業界」につぎ込んでいる…そのヤバすぎる理由
官製ファンドを通して企業を買収する――経済という相撲の行司を務めるべき経産省が、まわしを締めて経営にまで乗り出した。しかしどんな錦の御旗を掲げても、「禁じ手」が許されるはずがない。 【一覧】5年後に「株価が5倍」もありうる「日本企業10社」の実名を大公開する…!
税金を湯水のごとく使って
2027年までに、最先端である2ナノのロジック半導体の量産を目指す国策企業ラピダス。 技術面でも人材面でも実現は絶望的であるにもかかわらず、1兆円もの血税を投じて支援している経済産業省の「暴走ぶり」は、前回記事『99%が税金の半導体会社「ラピダス」はもはや国有企業…そのウラにある経産省の「思惑」』で見た通りだ。 しかし事態はそれだけにとどまらない。日本の半導体業界に補助金の雨が降り注いでいる。その額、2021~2023年度ですでに4兆円。全て補正予算から拠出されているので、国民の目には触れにくい。かつて「利権の巣窟」と批判された道路、ダムなどのいわゆる公共投資が2000年度の約12兆円から6兆円強に半減する中、それに匹敵する規模の新たな利権が生まれつつある。 本来、資本主義の国において、国が特定の企業や産業に巨額の補助金を出すのはおかしい。リーマンショック規模の経済危機の場合は特例とされるが、それも根拠となる法律を作り、国会で議論した上で国民の合意のもと拠出するのが筋である。 ところが半導体については毎年度、1兆円、2兆円というとんでもない額の税金が「経済安全保障」の名の下、国会でまともな議論もされないまま投じられているのだ。 一体全体、政府は何を理由に半導体産業だけを特別扱いし、巨額の補助金をばら撒くのか。筆者は、その理由らしきものを示す経済産業省の資料を入手した。 『半導体・デジタル産業戦略』 こんなタイトルがついた187枚のパワポ資料は、5月31日付で経産省が作成したもので、その冒頭にはこう記されている。 〈2030年に、国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連)として、15兆円超(※2020年現在5兆円)を実現し、我が国の半導体の安定的な供給を確保する〉 そのために2021年度7740億円、2022年度1兆3036億円、2023年度1兆9867億円の補助金を全て補正予算で拠出したことが、「戦果」のように誇らしげに書かれている。予算規模は毎年、倍々ゲームでとどまる所を知らない。 補助金は主に特定半導体基金、ポスト5G基金、経済安保基金という三つの基金から拠出されている。 特定半導体基金は経産大臣が認定した特定半導体生産施設整備等計画に沿った事業を、経済安保基金は2022年に定められた経済安全保障推進法に基づき経産省が「経済安全保障を推進する」と認めた事業を、ポスト5G基金はこれから主流になる第5世代移動通信システムの次の技術研究やそれに必要な半導体の開発事業を助成する。 とにかく経産省が必要と認めれば、何千億円、何兆円という補助金が出る仕組みで、底の抜けたバケツも同然だ。