豊作だった夏ドラマ…最も演技が良かったベスト俳優は? 識者がガチでセレクト。振り返り座談会(4)
2024年夏期ドラマを振り返るドラマ座談会を開催。『海のはじまり』や『西園寺さんは家事をしない』など注目度の高い作品を中心に、3名のドラマライターがそれぞれの魅力を深掘りし、共感ポイントや俳優、脚本の魅力に迫る。今回は、ドラマファン必見の座談会レポートをお届け。第4回。(文・編集部)
ドラマライターが選ぶ、夏のベストドラマは?
―――話題作について一通りお話をうかがったところで、御三方が個人的に良かったと思う作品を教えてください。 まっつ「『しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~』(テレ東系)と『Shrink』(NHK総合)です。両作品とも漫画が原作なのですが、まず原作が面白い。むしろ原作がしっかりしているからこそ、どのようにドラマ化されるかという懸念がありましたが、全くの杞憂でした。 『しょせん他人事ですから』は、原作の絵柄はリアル調ではないのに、ケンティー(中島健人)が、まるでそのまま漫画から出てきたように、喋り方や外見まで見事に再現されていました。内容も原作に忠実で、ネット炎上など、義務教育では教わらない身近なトラブルをしっかり描いているので、大人はもちろん、特に中高生に見てほしい作品です。 同じく『Shrink』も、精神的な問題が誰にでも起こりうることとして描かれているので、ためにもなりますし、主演の中村倫也さんのお芝居が本当に素晴らしかったです」 あまの「先ほど話題に出た、『あの子の子ども』と『素晴らしき哉、先生!』(ABCテレビ・テレビ朝日系)が特に良かったです。学園ものは、1話毎に生徒1人1人にフォーカスして問題解決するのが定型としてある中で、『素晴らしき哉、先生!』は、それだけでなく学校へのクレームだったり、教師側の悩みを描いています。 『ごくせん』『GTO』のようなカリスマ教師ではなく、“普通” の教師が主人公という視点に、新鮮みを感じました。学園ものであり、お仕事ドラマでもあるので、万人におすすめしたい作品です。日曜10時枠は、2023年に新設された比較的新しい枠で、世間的にもそれほど定着しきっていないきらいがありますが、『日曜の夜ぐらいは…』(2023)や『何曜日に生まれたの』(2023)など、面白い作品が多いので、もっと注目されたらいいなと思っています」 苫「『クラスメイトの女子、全員好きでした』(読売テレビ・日本テレビ系)が、予想以上に凄く面白かったです。木村昴さん演じるとても惚れっぽい主人公が、中学の時の女子クラスメイトを1人ずつ思い出していくのですが、女の子たちが世間一般にモテるタイプというわけではなく、欠点もあるのですが、主人公は誰に対しても魅力的な部分を見出して好きになるキャラクターで、とても温かみがあるお話でした。 主演の木村さんも勿論ですが、随所で挟まれる回想シーンの子役がとても上手。中でも『あの子の子ども』にも出演していた橋本淳さんは、本作でトランスジェンダーの人物を演じていて、どちらの作品でも光っていました。見てて気持ちがいいというか、心も温まるドラマです」