「プチ・アルファード」トヨタエスクァイアはなぜ販売終了になったのか?
トヨタの人気ミドルクラスミニバンといえば、「ノア」そして「ヴォクシー」だが、先代には「エスクァイア」というモデルも存在した。ノアやヴォクシーよりも煌びやかなエクステリアが与えられていたエスクァイアは、「プチ・アルファード」ともいわれていたが、残念ながらたった一世代で生産終了に。なぜエスクァイアは、生産終了となってしまったのだろうか。 【画像ギャラリー】既に廃版となった高級ミニバン、エスクァイアの雄姿を写真で総チェック!!(13枚) 文:吉川賢一/写真:トヨタ
「高級路線」がウリだったエスクァイア
先代のノア/ヴォクシーが登場したのは、2014年1月のこと。エスクァイアはその9か月後となる2014年10月に登場した。正統派ミニバンの王道を狙ったノアと、チョイ悪お父さん好みの厳つさを狙ったヴォクシーに対し、エスクァイアは大人っぽく高級な存在感を狙ったモデルとして登場した。 ガソリン車とハイブリッド車があることや、ちょうどよいボディサイズ、使い勝手のよいインテリアなどは、3兄弟で全く同じ。しかしながら、そのエクステリアから受ける印象は全く異なり、ノア/ヴォクには存在したエアロ仕様は設定がなかったものの、エスクァイアは、メッキ面積が広めのフロントフェイスによって、ワンランク上の高級ミニバンを上手く表現していた。そのギラギラな雰囲気から、「プチ・アルファード」ともいわれていた。
高級感でもコスパでも、アルファードに敵わなかった
しかしながら、2022年1月にノア/ヴォクシーがモデルチェンジとなった一方で、エスクァイアはモデルチェンジとならず、生産が終了に。2020年5月にトヨタの販売店が統合されたことで、車種統一を図った当時の事情もあったが、先々代のころから根強いファンがいたノア/ヴォクに対し、エスクァイアの人気がさほどでもなかったことが影響したようだ。 大人の高級ミニバンを狙うならば、よりゴージャスなアルファード/ヴェルファイアがある。しかもアルファード/ヴェルファイアは4~5年乗っても査定価格が落ちにくいなど、残価率が高いために高額車でありながらコスパに優れる。むしろエスクァイアに乗るよりもアルファードのほうがコスパがいいくらいだ。個性であるはずの高級感でも、コスパでもアルファードに敵わなかったことで、エスクァイアを選ぶ理由が乏しく、そうしたこともモデル廃止となった要因となったのだろう。