禁輸から1年…ホタテ“脱中国”へ新戦略【WBSクロス】
売り値2倍へ“新提案”
そして今、輸出先の更なる多角化に向け、アメリカで新たな戦略も動き出しています。 ジェトロや北海道が主催し、8月21日にニューヨークで開かれたのは、現地のシェフやインフルエンサーを招いた北海道の食材の販促イベントです。振る舞われたのはホタテのクルード。イタリア版の刺身です。日本産ホタテの新鮮さを生かした生食をアピールする狙いです。 試食したシェフは「北海道産ホタテは素晴らしい。口の中でとろけた」と話します。調理を担当したシェフのアンディ・キトコ氏も「北海道産はより滑らかで、北米産にはないうまみも感じられる。生食で真価を発揮する」と北海道産ホタテを高く評価しています。 ただ、そのためには課題もあります。日本のホタテの多くは、殻の状態のまま冷凍で中国などに輸出。解凍して加工し、再び冷凍の上、アメリカに輸出していました。再冷凍することで鮮度や風味が落ちてしまいます。 そこでジェトロが取り組んでいるのは、メキシコルートです。冷凍でメキシコに輸出し、加工。アメリカまでは陸路で数時間程度で、冷蔵での輸送が可能になります。 ジェトロは今年2月からメキシコ北西部の加工業者と協力し、実証事業を開始。生食用として高級レストランで扱われれば、売値が中国経由のときよりも2倍程度に高まると期待しています。 「グローバルのサプライチェーンはいつどこで何があるか分からない。全体のマーケットには支障がないように強靭な体制を作っていくことが大事」(「ジェトロ ニューヨーク」の三浦聡所長) ニューヨークでの販促イベントに登壇した北海道の鈴木知事も「ピンチをチャンスに変えて、安全安心でおいしいホタテだと発信していきたい」と話しました。 ※ワールドビジネスサテライト