【権藤博】交流戦7勝11敗…苦しい戦いが続く中日の浮上のポイントは?
中日は交流戦を終え、21日からリーグ戦再開に臨む。ここまで27勝33敗5分けでヤクルトと同率最下位に低迷している。日刊スポーツ評論家の権藤博氏(85)は浮上のポイントとして「守り勝つ野球の徹底ができるがどうかだ」と指摘した。 【写真】権藤博氏の横でちょっと緊張気味の立浪監督 ◇ ◇ ◇ 中日は交流戦も7勝11敗と負け越すなど、苦しい戦いが続いています。いくつかの要因があるとは思いますが、交流戦でも失策から流れを手放す場面があったように「守り勝つ野球」に徹しきれていないことが最大の原因ではないかと見ています。 守り勝つためには投手と野手の共同作業が必要です。しかし、この大事なピースの野手のポジションが相変わらず定まりません。両リーグの打撃成績欄を見ると、中日の選手名は12球団で西武と並んで最少の2選手(細川、村松)しか掲載されていません。固定起用される選手がほぼいない状態で戦いに臨んでいることを如実に示しているのです。 今季は「投高打低」の傾向が顕著で、打撃面では中日に限らずどの球団の選手も苦しんでいます。このため、規定打席に到達している選手も例年に比べると少ないのですが、問題はメンバーが日替わりの上に、守り勝つための条件である守備位置の変動も続いていることです。コンディション不良、技術、体力不足などさまざまな理由や事情があるにせよ、これだけメンバーと守備位置が入れ替われば、勢いも生まれません。 先にも触れたように守り勝つには投手と野手の信頼関係は不可欠です。日々、違うポジションに起用される選手も不安なら、投手心理もまたしかり。結果、苦しい投球に追い込まれ、せっかくの投手力は半減。適したポジションで訓練と実戦経験を重ねることでプロレベルの判断力や身のこなしが培われる野手も力を発揮しきれなくなっています。 立浪監督が開幕前に掲げた「守り勝つ野球」とはどういう戦い方なのかをチーム全体で改めて見直す必要があると思います。好スタートを切った4月は好守でリズムをつかみ、投手を含めた防衛力で重圧を与えるという、しぶとい野球を展開しました。 このところ、投手陣の状態も下降していますが、潜在能力は12球団屈指であることに変わりはありません。最下位とはいえ、首位広島とは6・5ゲーム差。守り勝つ野球に徹しきることができれば、チャンスは十分あります。少々、打てなくてもいいじゃないですか。防御が崩れたら勝負にすらならないのですから。ここからの戦い方に期待しています。(日刊スポーツ評論家)