捕獲開始から約30年。奄美大島「マングース根絶」ドキュメント!!
そんな阿部さんの努力が実って、5年後の93年に市町村がマングースを有害鳥獣に指定。捕獲すると1頭2200円の報奨金が出るようになった。また、96年からは環境省が駆除モデル事業調査を始め、マングースの分布を調べている。 「でも、調査ばかりしていてもしょうがないので、2000年から国が報奨金を出して駆除事業を始めることになりました」 しかし、駆除作業をするにあたって、マングースを捕獲するための「わな猟」の免許を持っている人だけだとどうしてもわなの数が少なすぎるので、一般の人に講習を受けてもらい、年間100人くらいの駆除作業者を確保した。 駆除の報奨金は93年度から99年度が1頭2200円。2000年度が2900円。01年度、02年度が4000円。03年度から05年度が5000円。しかし、ここで問題が発生する。 「マングースは行動圏がとても狭いんです。ですから、山奥にたくさん生息していました。しかし、そんな山奥にわなを仕掛けに行く人はほとんどいません。多くの人は自分の家の近くや車で回れるような便利な場所にかけます。 すると、市街地周辺の人が簡単に行ける所ではマングースの数は減るけれども、山奥など人がほとんど行かない場所での捕獲は進まず、マングースの分布はさらに広がっていきました」 そこで、報奨金での駆除には限界があると感じた阿部さんらは、05年に外来生物による生態系の被害を防止する外来生物法が施行されたことをきっかけに、環境省から予算をもらい山奥まで入ってマングースを捕獲する「奄美マングースバスターズ」を発足させた。 バスターズは報奨金ではなく毎月給料をもらい、月曜日から金曜日まで山に入り、マングースを捕らえる専門チームだ。 ■わなに探索犬の投入。駆除は命がけ! 奄美マングースバスターズのメンバー、後藤義仁氏が活動の様子を語る。 「私は06年に奄美大島に移住してきて、07年からバスターズで仕事を始めました。当時は奄美大島全域にわなが設置され始めている段階で、私はわなの点検を毎日していました。 朝の9時頃に事務所に集まって、10時くらいから山に入り、ひとりで50個から80個くらいのわなを点検します。そして、15時から16時くらいになると山を下りる。それよりも遅くなると、ひとりで点検しているので『あいつは大丈夫か』と探されることになるんです。 わなは2種類あります。ひとつはエサに食いついたら絶命する捕殺式のもの。もうひとつは生け捕り式のもの。