カギは「堅い守りをいかに突破するか」…中国には露骨に対抗心を燃やすGKも【W杯最終予選初戦 難敵中国代表の正体】#下
【W杯最終予選初戦 難敵中国代表の正体】(下) W杯最終予選初戦・中国戦は「日本が中国の堅い守りをいかに突破するか」がカギを握る ❤ 顔 を 見 る ❤ 三笘と美人妻の「ラブラブツーショット❤」を見る!! 5日の北中米W杯アジア最終予選の初戦・中国戦(埼スタ)の試合展開は、日本が押し込む時間帯が長く、守勢の中国がカウンターを狙うという構図が予想されます。カギを握るのは、日本が中国の堅い守りをいかに突破するかーーでしょう。 今回はGK、DFについてお話ししましょう。 GKのメンバー登録は4人。その中で武漢三鎮の刈殿座(リュウ・デンゾウ)と山東泰山の王大雷(ワン・ダレイ)とは同じクラブに在籍していたことがあり、コーチと選手の関係でした。 王大雷は、日本に対してとても自信を持っていました。というのもU16中国代表として静岡県藤枝市でU16日本代表と戦い、その時に勝利した経験があったからです。いつも「俺は日本に勝ったことがある」と私に言っていましたね(笑)。 DFは他のポジションよりも「少し若い」という印象を受けます。 守備陣を統率すると思われる右CB蒋光太(ジャン・グァンタイ)は英リバプールで生まれ、2019年に中国の国籍を取得した帰化選手です(英国名はティアス・ブラウニング)。上海海港でプレーする彼はフィジカルに恵まれ、対人プレーに強さを発揮する選手です。 彼とコンビを組むのは上海申花に所属する左CBの朱辰杰(ジュ・チェンジェ)です。高さもあるし、対人にも強い。 右のSBで先発すると予想されるのが、山東泰山の高准翼(ガン・ジュンイ)です。大型SBの彼は2015年にJ福岡でプレーしていたのでご存じの方も多いのでは。左右のSBに加えてCBやボランチまでこなせ、非常にユーティリティー性の高い選手です。彼とも武漢三鎮でコーチと選手という関係でした。 左SBは山東泰山所属の刘洋(リュウヤン)が先発し、この4人が4DFを形成するでしょう。 さてーー。中国代表メンバーを見ながら「これからの変化を予感させてくれた」と思いました。 以前は「帰化選手を多く起用して代表強化を図ろう」という傾向がありましたが、今回はブラジル出身者(FWのアランとフェルナンジーニョ)とDF蒋光太の3人だけです。若手とベテランがバランス良く共存している印象を受けました。 これには中国サッカーのバブル崩壊が関係していると思います。自分の肌感覚としては、経済規模がピーク時と比べると10分の1ぐらいになった感じです。驚くような高年俸も今ではJリーグと同じ……いや、もっと少ないかもしれません。 今でも上海申花、上海海港、山東泰山は豊富な資金力を誇りますが、他のクラブは不動産関係の企業をメインスポンサーとするクラブが多く、不動産バブル崩壊のあおりを食った格好です。 経済的事情を含め、安易に帰化選手に頼ることなく、将来を見据えた選手選考が行われたことを感じながら「災い転じて福となす」という言葉を思い出しました。 中国というのは、これはサッカー界に限った話ではないのですが、それなりの成果が出ているのにある日、いきなり大胆な方向転換が行われることがしばしばあります。 そのたびに関係者が違う方向を向き、みんなで全力疾走するのです。ですが、今は「じっくり腰を据えて中国サッカーの将来像を作ろう」としているように見えます。 何と言っても人口14億人の国ですからね。人材は豊富です。W杯のスポンサーにしても日本の企業は追いやられ、中国企業ばかりが目立っています。「今まで以上に中国サッカーの動向に注目していかねば」と切に思っています。(おわり) (黒崎久志/中国超級・青島西海岸 前監督 聞き手=森雅史/サッカージャーナリスト、絹見誠司/日刊ゲンダイ)