「サンフレッチェ広島が知りたい情報はすべてオープンにする準備がある」――1. FCケルンのアカデミーダイレクターが語る育成業務提携の意義
今後の活動プラン
――Jリーグは30年以上の歴史を重ねた中で、世代交代や人事の変更などもあり、育成方針が変化しているクラブがあります。『変わる』ことについて、ルーカス・ベルクさんはどのようにお考えですか? 「成功した方法にもいつか終わりは訪れます。『変化』は私にとってキーワードでもあります。良いアイデアは積極的に採用したい。ただ、育成においては『我慢』も重要で、結果だけを見て短期間で指導方針や人事を変えてしまうのは勿体ない。我慢の先に大きな成長があるケースもあります。クラブによって変化させる部分と変化させない部分を設定し、人事が入れ替わっても受け継いでいくことが大切です」 ――レアル・ソシエダ×徳島ヴォルティス、ハノーファー×水戸ホーリーホック、アヤックス×ガンバ大阪……近年、Jリーグでは欧州クラブと育成を対象とした提携を締結する事例が増えています。他クラブの提携と比較して、1. FCケルン×サンフレッチェ広島提携の特徴は何だとお考えでしょうか? 「いくつかあると思いますが……すぐに思い付いたのは『親近感』ですね。我々は誰にとっても身近なクラブでありたい。2021年の提携以降、双方に日本とドイツを行き来して、オンラインでもミーティングを重ね、サンフレッチェ広島が知りたい情報はすべてオープンにする準備があります。育成業務提携を締結しただけで満足するのではなく、密なコミュニケーションが取れる関係性を築けるのが我々の特徴だと思います」 ――最後にサンフレッチェ広島との育成提携について、今後の活動プランを教えてください。 「これからの3年は、ここまでの3年で積み上げてきたことを土台に新しいことにも挑戦したいと考えています。若い選手にとって海外での経験は、サッカー選手としてだけでなく、人間としてとても大切です。広島からケルンに短期留学に来る選手の数と回数を増やしたいですし、チーム同士での試合も増やして、選手たちの成長に繋げていきたいです」 Photos:(C)1FCKoeln, Getty Images [ライタープロフィール] 玉利剛一(たまり・こういち) 1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。その後、筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。2019年よりフットボリスタ編集部所属。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆を行っている。
玉利剛一(フットボリスタ編集部)