ハリス・トランプ、誰が大統領になっても金正恩は「対ロシア賭博」継続…「通米・通ロ封南に警戒を」(1)
6日、米大統領選挙出口調査の結果が続々と公開される中で、誰よりも千秋一日の気持ちで結果を待っている人がいる。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長だ。「美しい手紙」をやりとりし、対面首脳会談まで行ったドナルド・トランプ前大統領が帰還するのか、それとも対北原則論と抑制力強化で一貫したジョー・バイデン大統領の基調をそのまま受け継ぐカマラ・ハリス副大統領が新たな大統領になるのかによって、金委員長の対米算法にも変化が迫られる。先月31日、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星(ファソン)19型」の発射は対米交渉力確保のための予告編にすぎない。 金委員長はまず、誰が大統領になっても来年1月に米国で新政権がスタートするまではロシアとの不法協力を強化することに注力するものとみられる。米国のリーダーシップを巡る不確実性が除去され、ウクライナ戦争終戦や休戦議論に加速度がつく前に取り引きを通じて必要なものを最大限手中に収めておきたいとの思惑の下、金委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の利害が一致するためだ。 「北朝鮮軍の戦線配置が当初の予想よりも速いテンポで進んでいる」という韓国政府の評価も、このような分析を後押ししている。ウクライナはすでに北朝鮮軍と交戦したと主張している。 ただし、誰が米大統領になっても、このような密着関係がむしろ金委員長にとっては足かせになるかもしれない。北朝鮮軍のロシア派兵という危険な賭けに勝負をかけた瞬間、米国の北朝鮮およびロシアに対する政策は互いに重なりあるものとして作成されてしまうからだ。 ハリス氏当選時、北朝鮮に対する基調は「対話にはオープンだが、軽率な見返りはない」というバイデン政府の原則を継承する可能性が高いという分析が支配的だ。ところが北朝鮮軍が実際に戦場に投入されるなど朝ロ間で限度を越える行動が実際に取られるなら、北朝鮮に対する立場は以前よりも強硬になる可能性が高い。 トランプ氏は選挙遊説中にも金委員長との親密さをアピールして「ブロマンス」再来の余地を残した。ワシントン内外では、トランプ氏が北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)など米本土に対する脅威能力だけを除去して制裁を解除する「スモールディール」に対する懸念が提起される。 ただし、2019年2月ハノイでの米朝首脳会談で「ノーディール」の失敗を経験したうえ、すでにプーチンという後船を得た金委員長の立場では、新たに繰り広げられる新冷戦構図を最大限に利用して米国との協議に入ろうとするものとみられる。金委員長がトランプ氏との対座を急がず、ロシアとさらに密着して高価値先端技術を獲得すると同時に、より難度の高い交渉を突きつけてくるだろうという観測も出ている。 一方ではウクライナ戦争が終わる局面でも朝ロが今と同じような密着を継続するのかに対する懐疑論も提起されている。プーチン大統領の立場では、戦争が終われば金委員長が提供する武器と兵力の効用性が急減するためだ。それでも両側が結んだ「包括的戦略パートナー関係条約(朝ロ協力条約)」は、今後北朝鮮・米国および南北関係に相変らず影響を及ぼす可能性がある。条約第5条は「一方は他方のその他核心利益を侵害する協定を第三国と締結せず、そのような行動に参加しない義務を持つ」と規定している。米国との平和協定など非核化交渉の結果もこれに該当するが、ロシアは条約を通じて介入する権利を確保した格好だ。