民間より安いのに…福井県のベビーシッター派遣事業の利用伸びず 子育て支援策「ふく育県」スタートから9ヵ月
福井県の子育て支援策「ふく育県」の一環で昨年11月に始まった家事育児サポーター派遣事業「ふく育さん」の利用が低調だ。利用者数は8月末までの約9カ月間で延べ173件にとどまり、本年度の年間目標600件の3割にも満たない状況。県は体験モニターの感想も踏まえ、サービス内容など事業の改善を検討する考えだ。 ふく育さん事業は、登録した保育士や看護師が申し込みのあった家庭に出向き、保育や家事をサポートする。利用料金は1時間当たり1300円~2500円(曜日や時間帯、補助金適用などで異なる)。民間の家事代行サービスより安価だという。派遣者の登録数は県内全域で80人を超え、年間利用目標の600件に対応する体制は整っているものの、利用が伸びていない。 9月19日に行われた定例県議会一般質問で山岸みつる議員(ふくいの党)が事業の利用状況をただした。山岸議員は多胎児(双子や三つ子)を育て家事・育児の苦労を訴える親から「もう少し料金が安いと助かる」との声を聞いたとし、「多胎児がいる家庭やひとり親家庭、経済的困窮家庭などがサービスを安く利用できる仕組みが必要」と補助制度の導入を求めた。 池上栄志健康福祉部長は「(ふく育さん事業の利用者から)育児負担を軽減できたと評価する声がある」とした上で、利用拡大に向けてニーズを調査するため、一定の利用分を実質無料で体験してもらうモニターに54人を指定したと説明。10月中に第2弾モニターを募るとし、体験者のアンケートを通じてサービス内容や料金補助の必要性について検討するとした。 県は、ふく育さん事業と、妊婦や子育て世帯の外出をサポートする「ふく育タクシー」を合わせて本年度当初予算に約8千万円を計上している。 ふく育タクシーは本年度目標900件に対し、昨年10月末の開始から8月末までに延べ528件の利用があった。チャイルドシート装着や、研修を受けた運転士が荷物を運ぶなど妊婦らに配慮したサービスを充実。妊婦の通院や子ども連れの買い物などの利用があるという。 県こども未来課の担当者は「一定の成果が上がっており、引き続き周知に努めたい」とした。