群馬知事 韓国大使との面談見送り
群馬県が撤去した朝鮮人追悼碑をめぐって調整が続いていた山本一太知事と尹徳敏(ユンドクミン)・駐日韓国大使との面談は、実現しなかった。県が面談の全面公開を求めたが、韓国大使館側にとっては非現実的な条件だったとして、合意に至らなかった。 【写真】撤去によりがれきの山となった朝鮮人追悼碑=2024年1月31日、群馬県高崎市綿貫町の「群馬の森」、朝日新聞社ヘリから、竹花徹朗撮影 27日の定例会見で面談の断念を発表した山本知事によると、県が面談の全面公開を条件に出したが、それに慎重な大使館側からの合意が得られなかったという。ただ外交上、今回のような協議が全面公開されるケースはほとんどない。 県が碑の撤去のための代執行工事に着手する前、在日韓国大使館側が、幹部と山本知事との面談を打診した。だが面談は実現しないまま、1月末に工事が始まり、更地になった。 山本知事は3月末、「尹大使の名前で知事あてに面談を求める手紙が届いた」として、面談に前向きな姿勢をみせた。この間、事務レベルで交渉を続けたが、知事は「面談の内容が誤解されないよう、意図しない形で伝わらないよう、フルオープンにしたい」と面談の形式を主張した。外交上、公開に慎重な大使館との間で平行線となり、区切りをつけることにしたという。県は25日、「今回は見送りたい」と記した書面を送った。 条件を譲らなかったことについて、山本知事は「フルオープンが一番誤解がない。非公開にすると、向こうが内容を正確に発信するか確信がもてない。何らおかしな対応とは思わない」「私は歴史修正主義者でなく、日韓関係は大事だが、こちらの意図が伝わるか確信がもてなかった」などと述べた。
朝日新聞社