米財務省、豚の屠殺詐欺に関与したカンボジアの富豪に制裁
カンボジアで最も裕福なビジネスマンの1人が、東南アジアに拠点を置く豚の屠殺詐欺組織に関連した人身売買や拷問などの深刻な人権侵害に関与したとして、米国の制裁を受けた。 先週、米国財務省外国資産管理局(OFAC)は、リー・ヨン・ファット(Ly Yong Phat)氏と、コングロマリットのLYPグループやカンボジアにある4つのホテルを含む同氏の保有する複数の企業に対する制裁を発表した。制裁対象とされたリー氏が保有するホテルの1つ、オー スマハ リゾート(O-Smach Resort)は、アジア各地から連れてこられ、豚の屠殺詐欺組織で働かされる人身売買被害者の収容所として悪名高い。 米国は、リー氏を特別指定国民(SDN)リストに載せることで、海外在住者や米国在住者を含むすべての米国人が、いかなる形であれリー氏と取引することを禁じている。制裁の専門家は、これが同氏の事業活動に深刻な影響を及ぼす可能性があると指摘した。 「多くの制裁当局が、通常は米国の管轄権に服さない米国外の人物が特別指定国民リストに載った人物と重要な取引を行った場合に制裁を課すことを認可しているため、多くの米国外の人物は管轄権の考慮に関わらず、リー氏との取引を拒否するだろう」と、シカゴを拠点とする法律事務所ロープス・アンド・グレイ(Ropes & Gray)のパートナー弁護士、ブレンダン・ハニフィン(Brendan Hanifin)氏は述べた。「国際金融取引における米ドルの優位性を考えると、特別指定国民リストへの指定の実際的な影響は、リー氏が世界の金融システムのほとんどにアクセスできなくなることだ。」 法律事務所ウィルマーヘイル(WilmerHale)のパートナーで、同事務所のブロックチェーンおよび暗号資産(仮想通貨)業務の共同代表を務めるザカリー・ゴールドマン(Zachary Goldman)氏は、リー氏とその会社に対する制裁は、米国を通過するすべての取引に適用されると述べた。これには、取引に米国人が関与していない場合でも、米国の金融機関を通じて決済されるドル建ての取引が含まれる。 多くの銀行は、米国外の銀行も含め、OFACの制裁対象者とは取引しないとゴールドマン氏は付け加えた。 リー氏とその会社に対する制裁は、国際的な取引相手との取引能力と資本へのアクセスを大幅に制限するため、ハンフィン氏は、SDN指定は「企業に対する死刑宣告に相当する」可能性が高いと述べた。