物流2024年問題解決へ…建設中の新東名区間で自動運転実現に向けた路車協調実証実験
NEXCO中日本が建設中の新東名の未開通区間で路車協調実証実験を公開
NEXCO中日本は6月20日、建設中の新東名高速道路上の一部区間において実施している、自動運転の実現に向けた路車協調実証実験の模様を報道関係者に公開した。この実験は今年5月13日から実施しており、路車協調(V2I)による高速道路での実験は国内初となる。 高速道路の未開通区間を活用して自動運転技術を検証 実証実験の現場となったのは、2027年度開通を予定している新東名高速道路 新秦野IC~新御殿場ICの一部区間で、一般区間2.8kmとトンネル区間3.1kmの2区間を用意した。実証実験の期間は2024年5月13日から7月末頃までの約3ヶ月間を予定。その間にNEXCO中日本が提案した7つのユースケースと、参加企業から提案があった3つのユースケースについて実証実験を行う。 新東名(新秦野IC~新御殿場IC)進捗状況と実証実験区間 この実証実験の目的は、物流2024年問題を解決するための一つの方策を提案することだ。今後は、高速道路上における車車間通信(V2V)が可能な自動運転車両を含むコネクテッド車の走行が一般的となる一方で、コネクテッド車と非コネクテッド車が混在している状態も想定される。そうした状況下でも、路車間通信技術の活用によって、安全な通行が可能になる仕組みを作り上げることを最終目的とする。 この分野においては日本政府も、自動運転車優先レーンを含む「自動運転サービス支援道」の社会実装を加速するとしており、今回の結果は「デジタルライフライン田園都市国家構想」で示されたアーリーハーベストプロジェクト(対象区間:新東名高速道/駿河湾沼津SA~浜松SAの約100km)にも活用していくことになっている。 車両メーカーや自動運転技術、インフラに関わる企業10社が参加 そうした背景の下、実証実験で進められるユースケースは、NEXCO中日本が提案した7つのプランと、参加企業から提案があった3つのプラン。ここには、KDDI、交通総合研究所()、名古屋電機工業、古河電気工業、富士通、沖電気工業、三菱重工機械システム、ソフトバンク、日本電気、三菱電機の10社が参加しており、さらにユースケースごとに協力する企業が加わって実証実験は進められていくことになっている。 NEXCO中日本が提案したユースケースは、以下の7つだ。 (1)路上障害情報の後続車への提供 (2)路面状況や走行環境に応じた最適な速度情報などの提供 (3)車載センサーなどを活用した維持管理情報や運行支援情報などの収集と提供 (4)コネクテッド車の緊急停止時における遠隔監視と操作 (5)交通状況に応じた情報提供による高速道路ネットワークの最適化 (6)交通状況に応じた車群情報の提供による交通容量の最大活用 (7)目的地別の追随走行支援 NEXCO中日本が提示した実証実験のユースケース また、参加企業からの提案があったユースケースは以下の3つ。 (1)風除け走行先行車適性診断 (2)休憩施設内オンデマンド自動運転サービスを想定した駐車スペースの利用効率向上 (3)車両とインフラ間の情報連携による情報収集と提供の強化 企業側から提案された実証実験のユースケース 「ITS Connect」を活用して路上障害による事故発生を未然に防止 このうち今回公開されたのは、NEXCO中日本が提案したユースケース1とユースケース4の2つ。静岡県内の新御殿場ICを基点とする一般区間でデモ走行が実施された。
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レスポンス 会田肇