手取り22年間で51万減の試算も…“106万円の壁”撤廃でどうなる?
◆そもそも、私たちの“手取り”は、どれだけ減っているのでしょうか。
ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんが試算した年収700万円の会社員を例として、税金や社会保険を引いたいわゆる“手取り”が、この20年でどう変化したのかというグラフを見てみます。 2002年に手取り収入は587万円ありました。それが、2008年には565万円と、22万円減っています。これは、社会保険料の値上げや配偶者特別控除の一部廃止などによるものです。 さらに、565万円から子どもの扶養控除の縮小・廃止により、2024年には536万円にまで減らされてしまいます。試算では、22年で手取りは51万円、減少したということです。 一口に“壁”といっても、性質が異なります。国民民主は『手取りを増やす』をスローガンに掲げ、“103万円の壁”を撤廃しようと主張。これは、「控除額」を増やす、つまりは減税ですので、手取りが増える話です。ただ、税収が大きく減るため、自治体などから懸念する声も出ています。 一方、厚生労働省で議論が進む“106万円の壁”“130万円の壁”は、社会保険料の壁です。例えば、106万円の壁を撤廃するということになると、今は配偶者の扶養に入っているパート労働者も保険料を負担することになり、単純に手取りも減ることになります。一方で、保険料を負担するので、将来もらえる年金は増えることになります。 また、立憲民主党は“130万円の壁”について、手取り減を補う給付金制度の法案を国会に提出しています。 深田さんは「制度が複雑で、実際にどれだけ働けば良いのかわからない。例えば、従業員51人以上の企業で働くパート労働者の場合、“106万円の壁”を意識する人が多いが、125万円を超えて働けば手取りが増えることを知らない人が多い。“壁の撤廃”の議論とともに、働く人にわかりやすい制度にする必要があるのでは」と指摘しています。
テレビ朝日