勤勉なのは逆効果... 「思考力が高まる」10の方法
どれだけ本を読んでみても、どれだけ机に向かってもアイディアがまとまらない...。考えが行き詰った時は、どう対処すべきなのでしょうか。お茶の水女子大学名誉教授の外山滋比古さんが、思考力を高めるために、日々意識すべきポイントについて語ります。 ※本稿は、外山滋比古著「こうやって、考える。」(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
考えごとは朝にする
ものを考えるのは、朝、目覚めてからの短い時間がいい。よく眠ったあとの朝は気分爽快で、頭の中の様子はわからないが、夜、寝る前よりは、きれいになっているにちがいない。 そこで考えたことが、一日中でベストであると決めた。もともと、夜になってからものを考えようとしたことはなかったが、一日中、着想を求めていたのは、少し不自然であると考えるようになった。 『知的生活習慣』より
知識に甘えない
知識は有力であり、適当に使えば知識は「力」であるけれども、困ったことに、知識が多くなると、自分で考えることをしなくなる。知識があれば、わざわざ自分で考えるまでもない。 知識をかりてものごとを処理、解決できる。知識が豊かであるほど思考力が働かない傾向になる。極端なことを言えば、知識の量に反比例して思考力は低下する、と言ってよいかもしれない。 『「マイナス」のプラス』より
誤り、失敗を怖れない
アイディア、発明、発見の基本的姿勢として、「常識を疑え」というのがある。既存の権威なども常識に支えられているから、だいたいにおいて非創造的であるのを避けられない。そう考えてみると、誤っておこったこと、失敗したことは、常識を超越しているためにクリエイティヴであるのだと考えられる。 そうだとすれば、失敗、誤り多き人生は新しいものを生み出すのに適していると評価することができるようになる。 『アイディアのレッスン』より
しゃべらない
いい考えが得られたら、めったなことでは口にしてはいけない。ひとりであたためて、寝させておいて、純化をまつのが賢明である。 話してしまうと、頭の内圧がさがる。溜飲(りゅういん)をさげたような快感がある。すると、それをさらに考え続けようという意欲を失ってしまう。あるいは、文章に書いてまとめようという気力がなくなってしまう。 しゃべるというのが、すでにりっぱに表現活動である。それで満足してしまうのである。あえて黙って、表現へ向かっての内圧を高めなくてはならない。 『思考の整理学』より