文楽界支える人間国宝・吉田和生、桐竹勘十郎、吉田玉男 「三羽烏」が次世代に寄せる期待
勘十郎 私が勤める本蔵は渋い役ですが、手負い(傷を負った役)で、工夫のしがいがあって面白いです。
和生 僕は本蔵の妻、戸無瀬(となせ)役です。3人でやる九段目も最後かもしれないから、とにかく精いっぱいやります。
――今後の目標を
勘十郎 後継者となる若い人に文楽の世界に入ってもらうこと。人形遣いは8年くらい入門者がいないので。
和生 下に伝える義務があるけれども、後継者がいなければ伝えようがないんです。
玉男 僕らが金の卵やといわれたのと同じで、今入ってもらえればたくさん経験が積める。若い人たちを育てて、文楽を未来につなげていきたいですね。
吉田和生(よしだ・かずお)
昭和22年7月28日、愛媛県西予市生まれ。42年、吉田文雀(人間国宝)に入門、翌年初舞台。公演ごとに人形の首(かしら=頭)を決める「首割(かしらわり)委員」の重責も担う。平成29年に人間国宝、令和6年に文化功労者に選ばれた。
桐竹勘十郎(きりたけ・かんじゅうろう)
昭和28年3月1日、大阪市生まれ。父は二代目桐竹勘十郎。42年、吉田簑助(人間国宝)に入門、翌年、吉田簑太郎を名乗って初舞台。平成15年に三代目桐竹勘十郎を襲名。令和3年に人間国宝。姉は俳優の三林京子さん。
吉田玉男 (よしだ・たまお)
昭和28年10月6日、大阪府八尾市生まれ。43年、初代吉田玉男(人間国宝)に入門、吉田玉女(たまめ)を名乗る。44年に初舞台。平成27年、二代目吉田玉男を襲名。令和5年に人間国宝。
令和7年初春文楽公演
国立文楽劇場で1月3~26日(15日休演)。第1部(開演午前11時)は「新版歌祭文」から「座摩社の段」「野崎村の段」、第2部(同午後2時15分)は「仮名手本忠臣蔵」から八段目「道行旅路の嫁入」と九段目「雪転しの段」「山科閑居の段」、第3部(同午後5時半)は「本朝廿四孝」から「道行似合の女夫丸」「景勝上使の段」「鉄砲渡しの段」「十種香の段」「奥庭狐火の段」。チケットは1等6千円(学生4200円)、2等4500円(学生3200円)。国立劇場チケットセンター(0570-07-9900)。