失明の危険性もあるというが...「眼底検査」で異常あり、毎回再検査すべきか?
毎年1回は受けることが義務付けられている職場健診。健診結果の異常を示す「*」がついた数値には、実は気にしなくて良いものもあれば、今すぐに再検査を受けなければならないものもある。果たしてあなたは診断結果の本当の意味を理解しているだろうか。 【漫画】くも膜下出血で倒れた夫を介護しながら高齢義母と同居する50代女性のリアル BMI・血圧・尿糖・眼底など項目別にその検査結果の正しい見方を解説した『健診結果の読み方』(永田宏著)より一部抜粋してお届けする。 『健診結果の読み方』連載第40回 『健康診断での「視力検査」…どんな基準から「視力1.0」と言っているか、あなたは知っていますか? 』より続く
眼底検査
視力検査だけでは、眼の重大な病気を見つけるのは困難です。そこで登場するのが「眼底検査」です。眼の奥の「網膜」と呼ばれる部分を撮影して、眼の病気をスクリーニングするための検査です。 ただし職場健診の必須項目に入っていません。市町村の特定健診では、40歳以上を対象に、血圧や血糖値などの数値をもとに、医師が必要と判断したひとに限り、実施しています。しかし職場健診でも、希望すれば追加できるはずです。また人間ドックでは定番検査になっています。 病院の眼底検査は「散瞳薬」と呼ばれる、瞳孔を大きく開く目薬を使って行います。瞳孔が開くと網膜がよく見えるようになって、診断精度が上がるからです。そのかわり効果が数時間も持続するので、その間は眼がまぶしく感じたり、ピントが合わなくてパソコンやスマホが見づらくなったりします。だから検査の後は仕事にならないかもしれませんし、クルマの運転はしないように言われるかもしれません。 しかし職場健診や人間ドックでは、散瞳薬を使わない「無散瞳検査」が一般的です。暗室で「無散瞳カメラ」という装置を使って撮影を行います。検査装置に顎を載せ、頭を動かさないようにし、眼の前にあるレンズをじっと見つめます。このレンズを通して、眼の奥を撮影するわけです。その際、一瞬強い光が照射されて目がくらみますが、それだけで済むので、すぐに仕事に戻れます。 また最近は、OCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層計)という装置で、眼底検査を行う施設が増えてきました。これも散瞳薬は不要です。しかも短時間で、網膜のほとんどの病気を精度よく判定できると言われています。