失明の危険性もあるというが...「眼底検査」で異常あり、毎回再検査すべきか?
失明に至るリスク
眼の病気で怖いのは、失明に至るものです。厚生労働省の研究事業として行われた視覚障害の原因疾患に関する全国調査(2019年)によれば、失明等の視覚障害の原因は以下のようになっています。 1位 緑内障(40.7%) 2位 網膜色素変性症(13.0%) 3位 糖尿病網膜症(10.2%) ほかにも加齢黄斑変性や高血圧性網膜症、動脈硬化性網膜症と呼ばれる病気があり、眼底出血によって失明することがあります。 このうち網膜色素変性症は遺伝病の一種で、難病に指定されています。発症年齢は比較的若く、30~40代が多いとされています。家族や親戚にこの患者がいたら、若いうちから5年に1回くらいは、眼底検査を受けておいたほうがいいかもしれません。 それ以外は60歳以上に多い病気ですが、早いひとでは40代からはじまると言われています。 いずれも放っておくと失明するリスクが上がります。とはいえ、実はどのくらいの割合で失明するかは、よく分かっていません。たとえば緑内障の可能性があるひとは、40歳以上では20人に1人と言われています。しかし中途失明者は、もっとずっと少ないことは、言うまでもありません。これらの病気があっても、死ぬまで視力が維持されるひとも大勢いるわけです。 だからといって、放っておいて構わないというものでもないでしょう。健診や人間ドックでこれらの病気の可能性が指摘されたひとは、一度ぐらいは眼科を受診するべきです。失明してしまったら、二度と視力を取り戻せないので。
永田 宏(長浜バイオ大学バイオデータサイエンス学科教授)