「めちゃコミ」米ファンドが買収…電子コミックの現状と未来を解説
その後、電子コミックが伸びていくんですが、そのきっかけは何だと思いますか? 答えは「漫画村の閉鎖」なんです。海賊版の無料で見られるサイトがあって、出版社がやっとの思いで閉鎖させたんですが、その漫画村のおかげで、人々がスマホで漫画を読むようになっていました。 漫画村が閉じた途端、有料サービスたちが跋扈するようになり、2018年からワーッと伸び始めて2020年、コロナで巣ごもり需要がきて、さらに特需。雑誌のコミック誌はこの20年で5分の1ぐらいまで縮小していて、コミック本は横ばい。でも、それを余りあるぐらい電子コミックが伸びていて市場は過去最高です。 私が所属する出版業界も近い状況で、電子コミック一人勝ちなんですよ。紙の書籍は横ばい、紙のコミックも横ばい、何が減っているかといえば、私の故郷である紙の雑誌はもう見るも無残。弊社(日経BP社)も「紙の雑誌は延命はしない、デジタルでやっていこう」って感じです。 ■韓国発のウェブトゥーンが潮流に ブラックストーンはこれから世界に「めちゃコミ」を持っていこうとしているということを考えると、世界のコミック市場はどうなっているのか。漫画の世界では、日本がメジャーリーグです。日本が大体、世界の漫画市場の3分の1を占めています。 でも、北米のコミック市場は紙も含めて、この5年で売上高が4倍に伸びています。中国でもものすごく伸びていて、これから世界市場は伸びていくだろうというふうに言われてます。そこでどうやって日本のコンテンツ制作者を増やしていくかが課題です。 そんな中、気になるのは韓国勢。韓国のウェブ漫画をドラマ化するケースも多く、韓国のチマチョゴリを着ているのに日本人の名前に変えた少女漫画もいっぱあります。 漫画アプリは「LINEマンガ」と「ピッコマ」の2強ですが、「めちゃコミ」は実はアプリが弱く、ウェブに誘導しているんです。それは、アップル社などアプリストアに払うお金を抑えて売上高を伸ばすために、アプリよりもウェブに誘導してきたからです。でもそれが裏目に出てしまって、若い世代はアプリで漫画を読むので「LINEマンガ」と「ピッコマ」が席巻しています。