「めちゃコミ」米ファンドが買収…電子コミックの現状と未来を解説
■世界三大ファンドが着目した電子コミック業界 一方、買収したブラックストーンですが、昔「ハゲタカ」と言われていたような、いわゆるプライベートエクイティファンドなんですよ。世界三大プライベートエクイティファンドのうちの一つで、機関投資家や個人投資家など、いろんな人たちからお金を集めて、未上場の会社に投資しています。 そして、その会社の経営に入っていって、いろんなことやって企業価値を高めたうえで、株式上場させたり売却したりして利益を得る、というタイプのファンドなんです。彼らはウォルト・ディズニーの元の経営陣が作ったキャンドルメディアという、アメリカのコンテンツ会社も持っています。 今回の買収も、海外で漫画のコンテンツをもっと広げたり、グッズ販売やアニメ化をやって事業を大きくしようと思っているようです。まさに「めちゃコミ」はそれにうってつけの事業だったわけです。 先ほど、未上場の会社に投資すると言いましたが、今回はTOB(株式公開買い付け)をした後、帝人が持っているインフォコムの株を買い取って上場廃止にするパターンです。株式市場に見えない状態にして、いろんなことをやって、成長させてから売却したり、あるいは上場させて利益を取るか、ということなんです。 ■漫画市場は過去最高を更新中 世界三大プライベートエクイティファンドのブラックストーンが興味を持つぐらい「めちゃコミ」の価値が高いということなんですが、ここで国内漫画市場を見てみましょう。実は私、冒頭で名前を挙げた漫画配信サイトはほぼ全部登録しています。ちょっとしたスキマ時間に最初は「1日1話無料」でも、その続きが読みたいから、気づいたら課金してしまっています。 私のような人が多いから、漫画市場自体が今、過去最高を更新中なんです。約7000億円の規模があります。かつて「週刊少年ジャンプ」の全盛期がといわれていたのが1995年。それが紙で読む漫画のピークで、そこから規模縮小が続いて、2017年に底を打ちました。