「キティちゃん」や「ポケモン」を話題にしたって本当?ユーモアたっぷりだった、チャールズ皇太子の晩餐会スピーチ【ジャーナリストがいま振り返る、天皇陛下と雅子さまの訪英②】
ポケモンの名セリフ「全部ゲットだぜ!」
――天皇陛下は、留学中にチャールズ国王とフライフィッシングに出かけたことがあるそうですね。胴付き長靴をはいて一緒に川に入って魚釣りを楽しまれたとか。 大久保さん:そうですね。そのことについてもスピーチで触れています。陛下はオックスフォード大学留学の話から続けて、 「私自身もオペラ鑑賞やフライフィッシングをご一緒にしましたのでよく覚えておりますが、このように海外で過ごすという機会は、生涯にわたる友情と思い出を育みます。ところでフィッシングについて言えば、残念ながら、最近はあまり成果が上がっていないとご報告しなければなりません。あのポケモンの名セリフ、『全部ゲットだぜ!』は、私の孫たちにはぴったりくるかもしれませんが、私自身にはちょっと高望みかもしれませんね」 とおっしゃっています。 ――アニメ「ポケットモンスター」の主人公のサトシが、ポケモンを捕まえたときに言うセリフ「ポケモンゲットだぜ!」ですね。若いころと違って、チャールズ国王が川の魚を全部捕まえるのはむずかしそうです!
スタジオジブリ『千と千尋の神隠し』『となりのトトロ』がロンドンで上演
――チャールズ国王は、マンガやアニメにお詳しいですね。 大久保さん:スピーチでは、スタジオジブリの作品にも触れています。 「スタジオジブリのアニメは世界中の観客を楽しませ続け、今年はじめには宮崎駿監督の素晴らしい『君たちはどう生きるか』がアカデミー賞を受賞しました。今晩、ロンドンの劇場ロンドン・コロセウムでは、『千と千尋の神隠し』の舞台が満席の観客を前に上演されます」と紹介されました。 ――ロンドン・ウェストエンドで最大の劇場での公演ですね。4月30日から8月24日まで上演されていて大盛況です。天皇陛下と雅子さまは、ご訪問中に別の舞台もご覧になったようですね。 大久保さん:27日に、お二人でロンドン東部のヴィクトリア&アルバート子ども博物館をご訪問されました。そこで、舞台「となりのトトロ」の上演を、子どもたちと一緒にご覧になりましたね。 ヴィクトリア&アルバート子ども博物館では、ロンドン日本人学校の児童たちがブロック積みのワークショップに取り組んでいるところをご覧になったり、日本の自然や民間伝承と、大衆文化や技術、デザインとの関係を取り上げた特別展「日本――神話から漫画」を鑑賞されました。 ――雅子さまはやさしいピンク色のワンピースに、前立てにレースをあしらった一つボタンのジャケットをお召しでした。上品でやさしい印象のとってもすてきな装いでした。日本人の子どもたちにやさしく話しかけていらっしゃいましたね。 博物館といえば、少し前の2019年5月から8月にかけて、大英博物館で「Manga マンガ展」が行われていましたね。大英博物館の正面に掲げられた、『ゴールデンカムイ』の絵がデザインされたポスターが印象的でした。手塚治虫や赤塚不二夫をはじめ萩尾望都、鳥山明、こうの史代、谷口ジローなど50人の作家の作品が展示され、もっとも広い特別展示室が使われたことでも話題になりました。 大久保さん:日本のアニメやマンガが、イギリスの国民の生活の中に入ってきているのがわかります。チャールズ国王のスピーチは、ユーモアを交えつつも、今の時代と将来の日英関係の両方を見据えた内容だったと思います。 キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。 バナー写真/JMPA 構成・文/高木香織
大久保 和夫