妻の“不倫”を暴く親友(恒松祐里)の嫉妬。DNA鑑定が告げる悲しい真実 『わたしの宝物』5話
真琴の“正義”は果たして善?
美羽と冬月が不倫している、と信じ込んだ真琴は、少々執念深くも思える言動を繰り返す。まるで、誰にも何も言い逃れなどさせないよう、前もって外堀を埋めていくかのような緻密(ちみつ)さ。やはり、ずっと宏樹を想っていたからこそ、彼女のなかに溜まっていた嫉妬や悔しさ、やるせなさが“暴走”させてしまったのだろうか。 夫と別れ、シングルマザーとして雑貨店を経営する真琴。彼女の目から見たら、美羽には宏樹という夫がいて、立派なマンションに住んでいて、夫の稼ぎで生活の心配がなく、恵まれているように見える妻なのだろう。「私の元夫なんて、オムツひとつ取り替えてくれませんでした」と口にした真琴。無意識にも、自分と美羽が置かれる状況を比べていたのではないか。 真琴はまず、宏樹を揺さぶりにかける。「いままで夫婦の危機なんてないでしょ?」と問いかけ、宏樹がまったく美羽を疑っておらず、なんなら「今がいちばん幸せかな」なんて言葉まで引き出してしまった。 続けて、真琴は美羽に対し「私、美羽さんのこと信じてますから。ちゃんと話してくれるって」と、宣戦布告ともとれる発言。あまつさえ、仕事の打ち合わせと称して呼び出した冬月にも「私、浮気されて離婚したんで、不倫とか死ぬほど嫌いなんですよ。冬月さんは誠実そうだから、そんなことしませんよね」「もしかして冬月さんって、不倫とかしたことあります?」と畳み掛ける。 視聴者の目線から俯瞰(ふかん)すると、ここまで周到な真琴の真意はどこにあるのか、と思えてならない。元後輩として、年齢差なんて関係ない親友として、美羽のことを慕っていたのではないのか。いや、慕っていたからこそ、倫理に反する美羽の行動に裏切られた気がして暴走を止められないのか。 はたまた、宏樹に想いを告げていたが、それほどまでに彼のことを好きなのか。すでに恵まれている美羽が、いまの状況に飽き足らず、冬月とも関係していることが許せないのか。 どう考えても、状況を悪くする最初のドミノを倒したのは、美羽だ。宏樹に対し「あなたの子よ」と偽って産み育てている“罪”は消えない。同様に冬月も、不倫だと糾弾されても仕方のない立場にいる。 しかし、宏樹に美羽の不倫を暴いただけでなく、栞の父親が宏樹ではないかもしれない可能性まで示唆する真琴の“正義”は、果たして善なのか。人を裁いてジャッジを下す、ある種の快感にとらわれているのではないか。